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モロッコ水晶の謎  (ねこ3.5匹)

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有栖川有栖著。講談社文庫。

とある社長邸のパーティに招かれた推理作家・有栖川の目前で毒殺事件が発生!邸内にいた10人の中でグラスに毒物を混入できたのは誰か、そして動機は…。犯罪学者・火村が超絶論理で謎に挑む表題作ほか「助教授の身代金」「ABCキラー」「推理合戦」を収録。本格推理の醍醐味に満ちた“国名シリーズ”第8弾。 (裏表紙引用)


もう第8弾か。。次が出てない気がするんですけど大丈夫ですかね?
さて、当たる時はまあまあ当たり、ハズす時は大きく振りかぶってハズす国名シリーズですが、本作は珍しく”まあまあ”の作品集でした。カクっとコケた作品もありますがまあいいでしょう。

助教授の身代金』
てっきり火村さんが誘拐されるお話かと思いましたが、違いました(ほっ)。有栖川さんも、あとがきで「読者を引っ掛けるつもりで考えたタイトルではない」的な事を述べてらっしゃいます。
意味のわからない要求の仕方で警察と被害者、火村&アリスを翻弄する誘拐犯人。なかなか意外性もありドラマ性もありで考えられた作品では。最後の火村さんはやっぱり素敵だね!

『ABCキラー』
クリスティの「ABC殺人事件」の模倣犯が現れた?この作品は本家を読んでいる人だけ読んでね。ネタバレ入ってるので。
なんか、脅迫状は26文字でのアルファベット殺人を示唆しているのに「あいうえお」順で殺されているのが違和感ありありでした^^;ちょっとややこしかったですが、本家とは違った趣向で攻めて来ているのでなかなかでは。

『推理合戦』
ショートストーリーです。
火村さんと朝井さんが仕掛けたある謎を、アリスが暇にあかせて推理する、というなんてことない内容です。読者にはどうしようもない解き方だったのでなんだかなあ。まあ、良かったですが。。

『モロッコ水晶の謎』
一番物語的に面白味があったのはコレじゃないでしょうか。
パーティーの最中、シャンパンに毒を混入され倒れる被害者。犯人はこの中に!?というオーソドックスな設定ですが、さらに占い師まで登場して盛り上がります。
このトリックというかオチは、、、有栖川さんがよくやる「本気か!?^^;」というびっくりオチです。。論理はどうした論理は^^;しかし、面白いからアリかなあ。神秘的だし。


ま、まあ、わたくしめは火村さんが出てるというだけでちょっと点が甘いのでそのへんはお許し下さい。火村さんがアリスに語らないある過去、今回もまだ秘密のままです。う~ん、じらし上手。。