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壊れた少女を拾ったので  (ねこ3.5匹)

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遠藤徹著。角川ホラー文庫

ほおら、みいつけた―。きしんだ声に引かれていくと、死にかけたペットの山の中、わたくしは少女と出会いました。その娘はきれいだったので、もっともっと美しくするために、わたくしは血と粘液にまみれながらノコギリをふるいました…。優しくて残酷な少女たちが織りなす背徳と悦楽、加虐と被虐の物語。日本推理作家協会賞短編部門候補の表題作をはじめ五編を収録、禁忌を踏み越え日常を浸食する恐怖の作品集。 (裏表紙引用)


『姉飼』に引き続き、遠藤さん二冊目。5編収録の短編集です。単行本で発行された『弁頭屋』を改題し文庫化されたもののようですね。まだの方、間違えて両方買わないようにv
では、それぞれの感想を。

『弁頭屋』
戦争時代に突入した日本、そこで暮らす大学生という奇抜な設定のもの。
・・・というだけのものかと思いきや、突然カニバリズムの世界へようこそ(T_T)。。。戦争とこの設定がどう噛み合うのか、自分にはあまり理解できなかった。フィクションだから何でもアリなんだけど、双子の弁頭屋だけでも充分同等の面白さがあったと思うので。。。

『赤ヒ月』
連続でカニバリズムは止めて欲しい(T_T)。
ドラマ性もちゃんとあるのですが、ただただ気持ち悪いだけでした^^;恋心を食欲になぞらえるというのは上手いとは思うんですけどね。おぇ。

カデンツァ』
笑えばいいのか?この話。。。タイトルの意味がわかって唖然呆然。○○○○を擬人化するという、前回のジャングルジムよりさらに上手を行く設定。若い夫婦の危機、その根本はリアリティがあるとしても。。どちらかと言えば哀しいお話なので、茶化されてる感じがどうも。

壊れた少女を拾ったので
表題作なので、一番楽しみにしておりましたが。。あれ?思っていたようなお話と全然違う。何を想像していたかというのがバレるとゆきあやの人格を疑われるのでやめておきましょう。ある姉妹のお話で、妹が姉に語りかける文体になってます。なかなか雰囲気がありますが、展開が進まないのでちょっとイラっ。オチのひっくり返しはうまい!思わず拍手です。

『桃色遊戯』
ダニが繁殖した世界を描いたお話。
これはわりと設定のわりにまともですね。パニックものになってもいいような感じなのですが、諦観した人類の様子を描いているのでいっぱしの文学になっています。


以上。
う~ん、レベルが凄く落ちているとかそういう感じはしませんでした。が、自分の好みとは外れて来たんですよね。やっぱり「姉飼」みたいないびつなものや、「ジャングル・ジム」みたいな物語性の高いものを期待してしまいます。個人的には、今回の「カデンツァ」や前作の「キューブ・ガールズ」のような現代風でSF?をごっちゃにしたようなものがこの作者は成功率が高いのではないか、と思いました。