すべてが猫になる

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そして扉が閉ざされた  (ねこ3.7匹)

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岡嶋二人著。講談社文庫。

富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三ヶ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。(裏表紙引用)


おおお~!これは!!

設定は今でこそ時々見かけるものですが、これが書かれた当時は斬新だったのではないでしょうか?殺人の汚名を着せられた男女四人が地下シェルターに閉じ込められ、10日分ほどの食糧と水を与えられたまま外部との通信は一切遮断。あげくトイレには赤いペンキで”おまえたちが殺した”との脅迫が。
お互いがお互いを信頼出来ないまま、脱出したいという想いだけで団結し推理を展開させて行く四人。
咲子と交際しながら鮎美に心変わりした雄一、鮎美と幼なじみで自称婚約者の正志、ヒステリーで咲子と不仲だった千鶴。これだけでもトラブルの山なのに、そこに殺人容疑と監禁が加わるわけですから、面白くならないはずがありません。
はっきり言って時代の古さもあり、彼らの恋愛沙汰はウザかったですが^^;緊迫感はばっちり。
”意外極まる真相”というのも大袈裟ではなかったと感じます。結構無茶ですが。それに加えて、エンディングの皮肉さが評価を高めました。感情的にすっきりした、とかそういう種類のものではなく、こちらが納得する終息です。
この作品、結構岡嶋作品ではお気に入りの部類になりました^^