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沈黙のあと/After Silence (ねこ4匹)

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ジョナサン・キャロル著。創元推理文庫

ぼくはいま、息子の頭に銃を突きつけて殺そうとしている。なのに彼は微笑んでさえいる。どうしてこんなことになってしまったのか。聞いてくれ。ある日めぐり会った美しい母子。父親とは別れて暮らしているという。そう、ぼくがこの二人を愛してしまったとき、すべての”終わり”が始まったのだ……完璧な幸福の完璧な崩壊。天国と地獄を瞬時にしてすり替える鬼才の新たなる代表作!(裏表紙引用)


ぐはっっ。。。。さすがキャロル、容赦なし。。。
出だしのインパクトは毎回凄いのですが、まだ慣れない^^;最初の2行を読んだだけで「これを今から読むのか。。」と心の準備を始めなくてはいけない。プロローグを読んでしまったせいで、どんなに幸福な家族の姿を見せつけられても、レストランの従業員達との楽しい語らいやパーティーにクスクス笑いが起きても、頭上には暗黒の雲がたちこめている感じ。
良い父親であろうとするマックスも、息子のように愛らしいリンカンも、好きだったなあ。ああ、好きだったのよ。。。(残る一人には胡散臭さを感じていたけども。なんだよ結局この人が諸悪の根源じゃない??ぷんすか。)

今迄読んで来た作品よりはわかりやすい世界だったけど、ラストを読むとやっぱりキャロルはとんでもない事をしでかす作家だった事を思い出した。毎度ながら、読後立ち上がれないほどのダメージをくらったしはっきりと説明が加えられない所もレベルの高さを感じる。読み終わって呆然としながらプロローグを読み返して、タイトルに思いを馳せてごらんなさい^^;誰でも微妙な表情になるからさ。。。

しかし、キャロル6冊目だけど全部4匹越えだぞ^^;「死者の書」「月の骨」「炎の眠り」は外せない作品だとは思うけど、最初にコレを読むと言われても問題なさそうだな。。取り憑かれるのには十分だと思う。コレが駄目なら挙げた傑作群も合わない気がするし。