すべてが猫になる

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隠蔽捜査  (ねこ4.4匹)

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今野敏著。新潮文庫


竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁
ぶりに、周囲は<変人>という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守る
ため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人
事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。
(裏表紙引用)



すべ猫初登場、今野敏さん。
実は、ゆきあやこの作家さんが苦手だったのでこれから読む事はない、と思っていたのですが。
(まあ、なぜ読んだのかは語るまでもなく^^;)


おもろいやないかーーーーーv(^^)v


ジャンル的にも苦手なはずでしたが、すらすらと読みやすい文章のおかげで一気読み。
キャラクターの魅力もあるとは思いますが。事件そのものの詳細や、犯人を掘り下げないという
このジャンルでは有り得ない手法が成功している小説なんて初めて読んだかもしれません。
家族の理解も、ライバルとの心の通じ合いも、部下の尊敬も、ベタとしか言いようがないのに、
「甘さ」ではなく「正しい理想像」として読者に伝わって来るのはまるで奇跡。

ピックアップするならば、一番共感したのは竜崎の妻の冴子さんです。
エリートの妻にありがちなイメージの、従順な女性かと思いきや、これが意外ときっぷがいい。
言いくるめられているのではなく、母のように竜崎を包み込む。一家の主に従う姿勢は
崩さないまま、きっちりと自立した精神を持ち、行動する姿にはホレボレしました。
なんつうか、おいらのおかんと似ている気がしました。もちろんエリートの家庭でもないし
子供も優秀でもなんでもないんですが。うちは父親がいないので余計わかるのですが、
竜崎が冴子さんをこういう風に教育したのではなく、元々芯に何かを持っている女性ですよね。


最初のうちは、横山秀夫に比べたらどうたらこうたら、何かしら批判を書く事になるかと
思っていましたが、読み進むうちにすっかりどはまりしてしまい^^;。
この面白さがなんだか悔しかった。。

続編は、今回チラっとだけ出たあの人が重要な役割で出て来るそうですね。
竜崎の台詞そのままですが、ほんとに「面白くなりそうじゃないか」です^^
文庫が出てないので、早速予約して来ましょう^^