すべてが猫になる

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超人計画  (ねこ3.7匹)

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滝本竜彦著。角川文庫。


新人作家は悩んでいた。厳しすぎる現実を前に立ちすくみ、ダメ人間ロードを一直線に突っ走る自分は
このままでよいのだろうか?……いや、よくない!!虚無感とルサンチマンに支配された己を変える
には、そうだ!”超人”になるしかないのだ!!「くじけてはダメ、ゼッタイ!」やさしく励ます
脳内彼女レイと手を取り進め、超人への道!!(裏表紙引用)



NHKにようこそ!』以来ぱったり小説が書けなくなったという著者の、体あたりエッセイ集です。
初めは佐藤友哉のような私小説と見せかけた小説、かと思って嘗めつつ読んでいましたが。
第一章の、若くして○ゲてしまいスキンヘッドにした、というページをめくると。。滝本さん
ご本人のスキンヘッド(笑顔)写真が!!!(ぎゃー!実話だったのか!!!)
しかし、なかなか男前ではなかろうか。。これで小説家ですと言ったら普通にモテそうなんですけど。

というわけで、著者の本書のインタビューも覗き見して参りましたよ。
完全に虚構なし創作なしの事実が書かれた作品だということで。
まあ、とにかく、”人間彼女”が欲しい、という身も蓋もないテーマなんですね。
ともすればくじけそうになる滝本さんを毎回レイという脳内彼女が励まして、また立ち直って、
バカな事考えて、太宰治の墓参りにも行って、偽造デートもして、、。

とにかくアイタタなお話なんですが、これ、エッセイだと思って読み終わるとかなり凄いよ。
ちゃんと起承転結があって、高揚感もあって、答えは出せないけどとりあえずハッピー、という
人生への肯定が記されている仕掛けなんですよね。
一つ気になったのは、先月起きた無差別殺傷事件の犯人のネットへの書き込みと著しく似た
思考回路の発言があったこと。その時点で正直引いたので、とりあえず面白さも実力も
抜群だけど自分には関係のない次元の本だったと言っておきます。