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踊る手なが猿  (ねこ3.8匹)

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島田荘司著。光文社文庫


新宿西口地下街にあるケーキ屋のガラスケースの上にすわる猿の人形。向かいの喫茶店で働く純子は、
この猿に結ばれている赤いリボンが、時によって位置を移動するのが気掛かりだった。(「踊る手なが
猿」)都立高の敷地から江戸時代の墓地が?その中の樽形の棺に男女二人の人骨と、密封された小壺が
入っていた。(「暗闇団子」)サスペンス&トリック傑作集。(裏表紙引用)



ふう、やっと3.6と3.7の呪縛から逃れられたぞ(;^^A

やっぱり島田さんは凄いのですねぃ。有名でない短編集なのに、その一つ一つがこれだけ面白い
作家さんってそうそういないのではないかしら。
とか言いつつ、先日アップした『毒を売る女』と評価が違うのは、これが短編集の悲しさというか、
自分が「さいこー!」と思った作品と「う。。」と思った作品とまっぷたつに分かれてしまったから。
今回の場合は出来不出来というより、後半の『赤と白の殺意』『暗闇団子』が自分の好みでは
なかったから。前者は詩などもふんだんに交えた小説で、後者は江戸時代の恋愛模様。すいません、
この2編は流し読み状態になってしまい^^;


良かった2編の感想でも書いてお茶を濁しましょう。

『踊る手なが猿』
猿に巻かれたリボンの謎についてはそれほど興味が持てず、まあそんなところだろうと思っていた
範疇でしたが(だってどう考えても超常現象ではないし^^;)。
作品中の主人公である、喫茶店のマスターと不倫を続ける30歳独身女性の存在がなんだか
痛々しくて、気に入らない性格でありながらも共感しつつ読んでしまいました。おいらは不倫には
興味ゼロですが、加齢と共にこびりついた自己中心さが妙に自分とリンクしてしまい、
身に詰まされてしまいました。

『Y字路』
これが一番のお気に入りです。吉敷さんが登場しますよ^^この事件はさすがに吉敷さん以外の
刑事が解決したら「頭良過ぎだろ」とツッコミたくなりますね。
自分のマンションで、見知らぬ男が死んでいたらどうしますか?しかも、自分はもうすぐ
玉の輿に乗る事が決まっていたら。。
まあ、警察に電話するのが当然ですが、それではお話にならないので^^;ここに出て来る男女は
死体の始末を目論みます。その方法がこれまた凄い手が込んでいてそれだけで面白いのですが、
上手く行くかと思いきやとんでもない展開に。
この女性の最後のなんとも言えない悲しい台詞も、共感はしませんが同情出来ないとは言いません。
行動力があっても、意志が弱いとダメですね。


いやあ、凄く良かったです^^

しかし、そろそろいい加減島田&柴田(今日読んでる)祭り、飽きて来ました^^;
次の『ら抜き言葉』は薄いのですぐ読むかもしれませんが、実は図書館で5冊ほど借りて来たので
(むふふ)しばらくそっちにかかるかも。