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第3位 『そして誰もいなくなった』 著/アガサ・クリスティ

いよいよベスト3突入です!^^vどうです、第3位にミステリの女王の代表作。かっこいいなあ。
十角館の殺人』記事で「1位かと思っていた」とコメントいただいた皆さん、さすがに納得して
いただけるかな?おいらがミステリで一番再読回数が多いであろう作品がコレです。
「十角館」がミステリのさらに広い世界へ踏み出した記念すべき作品ならば、本書はおいらがミステリ
世界そのものへ踏み出した記念すべき代表作と言えるでしょう。
そのもの、と言ってしまえば江戸川乱歩エドガー・アラン・ポー(ははは)がそれを指すのですが、
本書は真面目に大人のミステリ小説にはまるきっかけとなった真のスタート地点です。


さすがに本書を読んでいないミステリファンはいない、と断言しても差し支えないでしょうか。
というわけで、オールタイムベストで初の堂々ネタバレで進行いたしますよ!
これからミステリにはまろう、試しにミステリでも読んでみよう、という未読の方はこれにてごめん。



       ~~未読の方は以下読まないで下さいね~~










はっきり覚えています。最初に読んだアガサ・クリスティが本書です。幸運だなあ^^
人気シリーズキャラであるポアロやマープルは出て来ませんが、シリーズキャラが世界的な
成功を収め、さらに一番有名である作品が別にある、という真の実力派アガサ様。

殺人者が間違いなく10人の中にいるというのに、タイトルの持つ言葉通りでなければ
いけない、という不思議さはまさにミステリの根本的な好奇心を触発します。これは読者に興味を
抱かせるには満点で、読む前から成功している例と言えるでしょう。まさか既に死んでいる者の中に
犯人がいるとは想像もつかず、マザー・グースの子守唄に合わせてインディアンの人形が一つ一つ
死体の出現と共に消失して行く。恐怖を喚起させるのにもこの演出は見事で、”遊び心”という
推理小説の面白さも体験出来るというわけです。

また、招待者であるオーエン氏が画策した”罪の告発”で動機は提示されつつも、彼らの
一人一人が裁かれない罪を背負い、またそれを心の闇にしまい込んで苦しんでいる姿が映され
深刻な問題提起と共に、深みのある人間ドラマとして広がっています。


次に死ぬのは誰か。どのように殺されるのか。
緊迫した空気の中、誰もが疑心暗鬼になり、胸の内を探り合う。
盗まれるピストル。注射器。
後半になると、犯人である判事は死んだ事になっている為、彼ら全員の”自分ではない、犯人の
見当はついている”というモノローグがさらに謎の迷宮へと誘います。この時点で、アンフェアな
記述がいかなるものかを本能で知っているべきなのでしょうか。

”変だな、十個あったはずなんだが……”
”オーエン氏はわれわれのなかの一人なのだ!”
”おかしいじゃないか、人形が八つしか……!”
”熊の形をしていたんだわ……”
”岩へ泳いで行っていいわ、シリル……”

と、自分が当時からゾクゾクさせられているシーンを集めてみましたが^^

そしてさらに、最後の二人が殺し合い、生き残った一人が自殺をするラストまで。
息もつかせぬ勢いで読み通したものです。
当時、自分はそこで「あ、あれ??誰もいなくなった。。」と思いましたね。

最後の判事による手記によって、淡々と事件の真相が暴かれるわけですが。
燻製のにしん等の伏線、ヒントを開示して、”してやられた”感までも得られるとは流石としか
言いようがなかったなあ。
さすがに今久々に読むと、裁きというからして判事が犯人だってピンと来なくちゃおかしかった
のね、と思ってしまいますね。プロローグで最初に出るのも登場人物紹介でどあたまに来るのも
この人だし、いやあ、目立ってた(笑)



さて、いよいよ次回第2位です^^もう1位にしてもいいぐらい、大好きな大好きな、
殿堂入りのあのミステリーが登場します。数日お待ちを^^