すべてが猫になる

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夜は千の鈴を鳴らす  (ねこ3.6匹)

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島田荘司著。光文社文庫


JR博多駅に到着した寝台特急<あさかぜ1号>の二人用個室から、女性の死体が発見された。彼女は
鬼島総業の女社長・鬼島政子で、検死の結果、死因は心不全と判明。だが、前夜、政子が半狂乱に
なり口走った「列車を停めて、人が死ぬ!ナチが見える」という意味不明の言葉に、捜査一課の
吉敷竹史は独自の捜査を開始する。本格推理の鬼才が時刻表を駆使した自信作!(裏表紙引用)



あちゃちゃちゃ。。。。すいません、このトリック、知ってた……^^;;
島田さんがお好きな作家さんの有名作品なので、ご本人も承知の上だと思うんですが。。。
バリエーションとフォローしたくてもあまりにも酷似しているので、パクリと言わざるを得ないの
でしょうか。かなりショックです。。
わたくしゆきあや、偶然と言うか運命と言うか、ちょうど今週読むつもりでその元ネタを用意してた
ところだったのでなんか本書を記事にしていいものかどうか迷いましたがな^^;
う~ん、元ネタと比べても、圧倒的に元ネタの方が出来がいいというか格が違うというか。
トリックを知らなかったとしても、元ネタほどの衝撃はなかったかもしれないと分析。

でも、つまらないかと言うとそんなわけではなく。
ある孤独な女性の強い生き様が最後には哀愁を醸し出しているし、吉敷が失敗してしまった故の
ある人物の不慮の死に様がお話を盛り上げているし。
吉敷さんの言う”人生の方で手ごたえを返してくれる”の言葉が深い。
それは決して、笑って生きて行くためでも、誰かの役に立つためでもない。ただ真実を通す、
それだけの生き方。
後悔する事も、これで正しいのか迷う事もさんざんあるのだろうけど、結局この人は他人がどう
思おうとその信条を貫くのだろうし、死ぬまで悲しみと失敗を繰り返していても、最後まで
後悔なんて絶対しないんだろうな。