すべてが猫になる

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百器徒然袋――雨  (ねこ4匹)

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京極夏彦著。講談社文庫。


「推理はしないんです。彼は」。知人・大河内の奇妙な言葉にひかれて神保町の薔薇十字探偵社を
訪れた「僕」。気がつけば依頼人の自分まで関口、益田、今川、伊佐間同様”名探偵”榎木津礼二郎
”下僕”となっていた……。京極堂をも巻き込んで展開するハチャメチャな妖「快」三篇「鳴釜」
「瓶長」「山颪」を収録。(裏表紙引用)



おおお~。噂の「榎木津中編集」はコレでしたか!^^中編と言っても一編一編が大変長いので
長編を3連続で読んだ気分になりましたが。。。それでも「しばらく京極夏彦はいいや」と
ならないのが凄いところ。

お話そのものは今までの長編作品に比べればだいぶパンチが弱いと思う(よね?)。
これは、榎木津さんのキャラクターを思う存分ファンが楽しむための作品集と言っても過言では
ないと思われ。えのさんのキャラに引いてしまう人やこのシリーズを読んだ事のない人が
読んでも楽しみどころが掴みにくいのではと。。
いやあ、しかし、えのさんは濃いですなあ(;^^A。。ある意味脂ののった御手洗潔より
濃いのでは。。

『馬鹿者。この僕に平伏さぬ者がどこの世界にいると云うのだ。この世に生きとし生ける凡百者どもは
悉くこの僕に帰依するのがこの世界の決まりだ!僕は誰にも頭を下げないが僕に頭を下げぬ奴は
誰もいない!』
『僕が許すものが善で、僕が許さないものが悪だ。他に基準はない!』
『だってカマじゃないか。カマ下僕でもいいぞ。カマオロカ下僕偏執男でもいいんだ。お前なんか
何でもいいや』

……いやあ、凄いよえのさん。。。爆発してるよ。。
しかも、本編の主人公であり語り手である「僕」の名前を全く覚えないし。。。この彼の名前は
最後の1ページでやっと明らかになってしまったのはえのさんのせいだ。。
何度会っても「君はいつかの何とか云う人!」とのたまい、
「おろしがね君」とか「砂利彦君」とか「四万十川君」とか勝手に命名している^^;;
「どうして僕はいつも偽名なのだ」と言いながら命令に従っていそいそと協力しまくる
彼もなかなかいいキャラをしている。。この彼を語り手にしたのは成功だねえ^^;普通だもん。
関口君とちょっとキャラがかぶるけど、あの人はちょっと病みすぎだから語り手にはふさわしく
なかったかな。
後半でやっと関口君(病みぎみ)が登場して、普通に歩いて喋っているのだけど^^;、
それでもやっぱり登場した時の存在感は凄いね。ヒドい扱いを受けているけれど^^;;、
彼はシリーズになくてはならないキャラだと再確認しました。
今回目立っている「彼」も良いのだけど、外伝でしか使えない気がする。

えのさんの活動に協力して結構楽しんでいる京極堂も見れたし、なかなか楽しかったです。

ただ、いくらえのさんが好きなゆきあやでも、さすがにお腹いっぱいでした。。
時々出るからいいのだわ、この神様は^^;