すべてが猫になる

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語り女たち  (ねこ3.8匹)

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北村薫著。新潮文庫


海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた女の話を聞くーーー
さまざまな女が男に自分の体験を語り始める。緑の虫を飲みこんだという女、不眠症の画家の展覧会
での出来事、詩集で結ばれた熱い恋心、「ラスク様」がいた教室の風景。水虎の一族との恋愛……
微熱をはらんだその声に聴きいるうちに、からだごと異空間へ運ばれてしまう、色とりどりの17話。
(裏表紙引用)



あらすじの通りの、ショートストーリー17編なのですが。
いやはや、ぽわ~~~ん。としてしまいますねえ。
どのお話も、綺麗で切なくてちょっぴり怖くて……という印象なのに、内容は現実的なんですよね。
甘さがないのに、これって凄いんじゃないかなと思うのですが。
挿入される美しいカラーの挿絵の効果もさることながら、やはり文章の美しさによるものかなあと。
実は通勤時間を利用して一気に読んでしまったのですが、ちょっと後悔しています。
これは毎晩寝る前に一編ずつ、浸りながら読むのに適している本かも。今日はどこへ連れて行って
くれるのかなあ、と期待しながら。読み終わったら、自分の田舎の親の事や、幼い日の思い出や、
別れてしまった友達、恋人の事を考えながら眠りにつける。5、6分で読めるお話なのに、
それぞれの”語り女たち”の人生が詰まっている。。。素敵な短編集です。ぜひどうぞ^^



今日の記事みじかい。。。