すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

覆面作家の愛の歌  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

北村薫著。角川文庫。


ペンネームは覆面作家ーー本名・新妻千秋。天国的美貌でミステリー界にデビューした新人作家の
正体は、大富豪の御令嬢。しかも彼女は現実に起こる事件の謎までも鮮やかに解き明かす、もう
一つの顔を持っていた!春のお菓子、梅雨入り時のスナップ写真、そして新年のシェークスピア
……。三つの季節の、三つの事件に挑む、お嬢様探偵の名推理。(裏表紙引用)
覆面作家シリーズ>第2弾。



別に特別好きな作家の作品だから……で毎回偏った作家にいい点つけてるんじゃないよー。
という証明になったでしょうか今回。
第1弾で自分が気に入った要素が今回は焼き直しになっている部分はやっぱり感動度
新鮮度が下がってしまいますね。千秋さんと良介の関係に進展があったのがシリーズものらしく
なかなか嬉しかったですが。

それ以外で前作との違いを感じた部分が、自分的に喜ばしい要素ではなかったです。
どれも同情すべき余地がない許されない動機の殺人を扱っている為、このシリーズが本来持っている
キャラクターのコミカルさや優しさが生かしきれていないように感じました。
特に、一編目のラストの千秋さんの優しい言葉。読んだ一瞬は感激したのですが、ふと
「いや、でも、それ自分の……じゃないし」と思ってしまいました。頭の良さや礼儀正しさに
つられて忘れがちでしたが、千秋さんって若いんだよね^^;○○人格という点を脇にどけたと
しても、彼女の境遇を鑑みるとまだまだ人格形成の途中、という印象を受けます。

もう一点は、二編目の誘拐事件。ミステリ的には、どうしても犯人のこの心理は無茶苦茶で
説得力に乏しい。。良介のツッコミはそのまま読者のツッコミじゃないでしょうか。。
あと、三編目のトリック。図解は一応ありましたが、これ、目の前で実演してもらえないと
自分のゆるい頭ではどうも理解しづらくて^^;

別にこれ、「ミステリとして突っ込むのは野暮」な作品じゃないよねえ。