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夜の蟬  (ねこ4.5匹)

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北村薫著。創元推理文庫


呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たちーーーふたりの友人、姉ーーーを核に、
ふと顔を覗かせた不思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三編。
色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が読後の爽快感を誘う。第44回日本推理
作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。
(裏表紙引用)



ぅぉぉぉおおお。。。。
良すぎるよ北村様。。。。この世にある本は北村様以外は良くない、と思いたいぐらい素敵ざます。。
「私」達の会話はいつでも何かの物語からの引用だったりするそのノリの良さは若さゆえの
”気取り”から来るものなのだろうけれど、共通の趣味嗜好を持った同士だけが繋れる、そんな
狭い世界で生きている精一杯の自己主張がおいらにはキラキラとまぶしい。これが作者の
「理想」だけのキャラクターであったとしても、たとえば自分の若い頃もこんなんだったなと、
こんな風にその対象が小説でありたかったなと羨ましさだけが生まれる。

謎が解かれる様が、その伏線の配置が、その真相にある人間の心が、どこまでも広がって行く。
作品ごとに取り上げられる噺は決して雰囲気づくりの為だけじゃなくて、それすらも
謎に見事に絡み合って美しい。ミステリーって芸術だったんだなあ。本を読んでいて、こんなに
無心で心地よかったのは久しぶり。
キャラクターの言葉の使い方も素敵だ。「さ・く・らー」「つー、ゆー、」歌うようだね。


それはそうと、このシリーズで後持っているのはいきなり『朝霧』なのだった^^;
気に入りすぎたから順番飛ばして読んじゃおうかと思った。しかーし、あらすじを読んで
「やっぱりやめとこ。『私』が成長しとる。。」と思ったのでしばし我慢だなあ。