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てるてるあした  (ねこ4.6匹)

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加納朋子著。幻冬舎


親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。そんな彼女の元に差出人不明のメールが届き、女の子の
幽霊が現れる。これらの謎が解ける時、照代を包む温かな真実が明らかになる。





うわ。うわうわうわ。。やばいです。
図書館から連行した途端に文庫が発売されてカクっとなった本書。
べるさんのお薦め本です。「ささらさや」の姉妹編だったのですね。そうか、だからべるさんは
「サヤより照代の方が好き」と比較してらしたのですね^^。
サヤさん、しっかり頑張ってましたね^^彼女が主人公だった時とはかなり自分の彼女を見る
「見方」が変わってました。(エリカさんはますます悪い印象になったけど^^;)


こんなつもりじゃなかったんですよ。まさか自分が号泣するとは。。
主人公が15歳の女の子、しかもひねくれ者で気が強くて、境遇は人生でこれ以上最悪な事は
ないっていうぐらいドン底。両親の散財が原因で、高校進学を諦めさせられた上に会った事もない
遠い親戚のおばあちゃんの家に居候するはめになるんですからね。
正直言って、こんなひねくれ者の子供のどこに共感しろって言うのか、自分が登場人物のうちの
誰目線で読めばいいのか。
坂木さんの「ホテルジューシー」でも感じたのですが、自分は「33歳の自分が気付いている事」
にこれから気付く事になるキャラの成長物語というのは苦手です。本を読むという行為の中に、
たっぷりの感動や驚き、興奮、癒しを求めているのはその通りなのですが、時々、自分の中の
ほんの一部が、「ブレている自分の針をぴたっと止めてくれる」教え、のようなもの、を
求めているのは間違いないからです。まあ三日も持ちゃしないんですが^^;
キャラと一緒に成長して行く、なんていうサムい事はとてもここじゃ言えません。(照れ^^;)


じゃあなんで、こんなにも感動したんだろう?
ここにいる照代という少女の気持ちや、行動がとてもリアル過ぎたからかもしれません。
彼女を取り巻く人々の言葉も。起こりうる数々の理不尽な展開も。
15歳の身元不明じゃ誰もアルバイトにゃ雇ってくれませんよそりゃ。
しかしだね、照代くん。大人ってもんは、大学出て、資格もとって、それでも10件も20件も
足を棒のようにして面接を受けて内定を取ってるんだよ。
さらに33歳にもなれば今度は年齢制限の壁が東京タワーよりも高く聳えたっている。

なんてくだを巻いても仕方ありませんが、本当に落ちてる時は心のこもりすぎた「わかるよ、
わかるよ、大変だったね」という同年代の言葉より「おっ、ご苦労さん。休んでた分がんばってや」
程度のそっけない年長者の気くばりの方が何倍も助かるって言う事は、実際にあります。
久代さんや珠子さん、サヤさんもそうだったんじゃないかなあ。

てるてる。がんばれ。
こっちだって、三十路過ぎても若い頃より○キロ太ってても逃げなくて良かったと思える瞬間は
ないわけじゃない。他人を羨むな、目上を敬え。久代さんの言葉を私も時々思い出します。