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ダブルダウン  (ねこ3.7匹)

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岡嶋二人著。講談社文庫。


ボクシング、フライ級四回戦。対戦中のボクサー二人が、青酸中毒で相次いで倒れ、死亡した。
編集者の福永麻沙美は、週刊誌記者の中江聡介、ボクシング評論家の八田芳樹と真相を追い始める。
衆人環視の二重殺人トリックは?二転三転する事件の陰に巧妙に身を隠す意外な真犯人とは?
(裏表紙引用)




先日読んだ「どんなに上手に隠れても」の締めが、まあ、アレだったもので、本書もそれを危惧して
おりましたが。お話のまとまり、全体的な面白さで言えばこちらの方が自分好みでした。
ボクシングに興味があるわけではないのですが、ミステリーでリング内でボクサーが二人死亡、
なんていうお話は読んだ事がないわけですし。誰が、いつ、どうやって、という点では様々な
憶測、推理が飛び交い、犯人が仕掛けた罠も含めて常に意外性を秘めておりました。
動機や犠牲になった人々の背景が非常に気分の悪いもので、まあ好みではない部分、という
意味では不満はそれぐらいでしょうか。

しかーし。
「いや~、面白かった。あとがきでも読もうかね^^」とごきげんで吉野仁さんの解説を
読み始めたのがまずかった。。
わたくしはかの『おかしな二人』を読んでいないので知らなかったのですが。
井上さんが本作に対して、「僕たちは最低の作品を書いた。犯罪は陳腐、登場人物の行動は
行き当たりばったり、構成は劣悪」うんぬん、という発言をされているらしい。
しかもとどめに、解説者が「つまらない作品ではない」程度のフォローしかしておらず、
「初めて本作で岡嶋氏の作品に触れたという読者がいるかもしれない。そういう方は、
ぜひとも他の岡嶋作品を読んで欲しい」という一文で締めている。。。
いや、悪意に取りすぎているかもしれませんし、吉野氏の岡嶋作品を褒める意図は汲んでいるの
ですが。。なんか楽しい気分に水を差されたみたいで^^;