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まほろ市の殺人 夏 -夏に散る花-  (ねこ3.6匹)

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我孫子武丸著。祥伝社文庫


真幌市に住む新人作家君村義一の許へファンレターが出版社から転送されてきた。送り主の住所も
同じ真幌。執筆に行き詰まっていた君村は、四方田みずきとのメールのやり取りで意欲もわき始め、
まだ見ぬ彼女に恋をした。一度は彼女に会うことができたものの、彼女との連絡は突如とぎれ……。
そして、思いを募らせる君村がとった行動が、思いがけない事件を呼ぶ!(裏表紙引用)




あれ?期待してなかったのだけど、結構面白かったです。どうしましょう^^;
120ページ弱の中編で、さくっと読めてしまうのですがなかなかに濃い内容で。最後の方は
頭がぐらぐらしました。元々作家と読者、という設定のお話が好きなのでそれもあると思いますが。
長編だったら真相を予想出来る時間があったかもしれないけれど、ぱ、ぱ、ぱ、と読んでしまったので
考える間もなく意外な真相へ。

君村の、恋をしてしまう気持ちは少しわかりますね。ネットではないのですが、手紙や電話などで
1ヶ月程やり取りをしていて、その時点で好きになってしまう、という経験は私にもあります。
もちろんお会いしたらもっと好意を持ってしまいました。若い頃の話ですけどね^^;
共通の趣味や感性を持っている同士なら、君村のようなインスピレーションはバカに出来ないと
思ったり。
しかしその反面、君村の友人の取った行動やその動機はとんでもなかったです。
まあ、これも「まほろ市」らしくていいのかな。

割と重い内容なのですが、ラストシーンが切なくて気に入りました。ちょっとロマンチックですね。