すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

どんなに上手に隠れても  (ねこ3.6匹)

イメージ 1

岡嶋二人著。講談社文庫。


多くの人が出入りするテレビ局から、白昼、売り出し中の歌手が誘拐された。しかもその直前、この
誘拐を暗示する奇妙な匿名電話が警察に入っていた!芸能プロやCMのスポンサーたちの対応、
駆け引き、警察の地道かつ執拗な捜査、そして事件の驚嘆すべきトリックまで、リアルに描ききった
傑作長編推理。(裏表紙引用)




途中まで凄く面白かったのに……という小説は苦手かもしれない。。逆に結末が良くて内容が
まあまあであればそっちの方が元を取った気分になる。

と、言う訳で。誘拐犯人の仕掛ける数々の入り組んだ計画や被害者サイドの後手後手に回る
翻弄されっぷりが非常に面白く、それこそ手に汗を握って読む事が出来ました。
さすがに現実的ではない細やかな、それこそ一つでも何かが狂えば失敗してしまう計画なので
『99%の誘拐』のように参考にしてやろう、なんていう輩は現れないと思いますが。
まさに魔術師のような犯人なので、読者にしてみれば「犯人=スター」、のような
わくわく感が得られます。人命だけはとりとめて、身代金奪取はとりあえず成功して欲しい、
というか見届けたい、と言いますか。もちろん最後に捕まる事が前提ですが。
誘拐ものとしてはかなりの傑作だと思います。


……途中までは。

黒幕がいない事が不思議でしょうがなくなる、この情けないパッとしない終わり方は一体^^;;
大きな第二の事件が発生したのがかなりの終盤なので、確かにこれがミスだったのですが
作者が解決させる為に無理矢理起こした事件のような印象が。。
こんな大それた犯罪とセットにするにはあまりにもちぐはぐな気がします。

今読んでいる『ダブルダウン』も本書と同じくらい、非常に面白く読んでおります。
さて、どんなラストが。。。ちょっと不安になって来ました。