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帝都探偵物語 1 -人造生命の秘密-  (ねこ3.6匹)

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赤城毅著。光文社文庫


時は大正十四年、帝都東京に突如不死身の怪物が現れた。その正体は、狂気の元軍医が生み出した
人造生命だった!父を想う可憐な少女の依頼を受け、心優しい青年探偵・小暮十三郎が立ち上がる。
行く手に立ちはだかる憲兵大尉・横光の邪悪な陰謀。危機に次ぐ危機ーーーそして涙を抑えきれない
結末まで、一気に読ませる大活劇。(裏表紙引用)




積読棚って色んな本が埋まっているものですね。なぜ、いつ、どこで、この本を買ったのだろう。。
赤城さんは初めて読む作家さんです。この引くか萌えるかどっちかの表紙で恐れをなして
読み始めましたが。文章が意外に平明で、物語も単純でわかりやすく(ごめん)、登場人物も
魅力的でなかなか好みでございました。
はっきり言えばフランケンシュタインのお話を独自の筆致で少し広げたもの。
主人公の十三郎はお金に無頓着で正義感に強く、生活はだらしなく頼りがいはないが
優しく憎めないキャラクター。秘書の礼乃は才色兼備文武両道、彼女あってこそ探偵事務所は
持っている感じ。助手の渡は過去に謎を秘めた美少年だが十三郎よりも礼乃に懐き、相手によって
言葉使いを変えるという巧みな特技を持つ。
そして依頼人はと言えば古今東西の怪奇ものの定石を踏んでおしとやかな美少女。

人造生命誕生の背景、敵の型に嵌まったような冷酷さ、活劇の末のお涙頂戴と生き残った者の
明日へ向かう気持ち。全てがどこかで読んだような、という印象は否めないのですが
こういうジャンルが好きであれば間違いなく楽しめるのではないかと。
構成や人物づくりなどがきちっとしているのであらすじの「涙を抑えきれない」が大げさとは
言えない作品でしょう。

余裕が出来たら集めてもいいかな。