すべてが猫になる

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トーキョー・プリズン  (ねこ4.2匹)

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柳広司著。角川書店


元軍人のフェアフィールドは、巣鴨プリズンの囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。
貴島は捕虜虐殺の容疑で死刑を求刑されているが、その記憶からは戦争中の記憶がすっぽりと
抜け落ちているというのだ。時を同じくして、プリズン内で不可解な殺人事件が起きる。その
殺人は<密室状況>で為されていた。フェアフィールドは貴島の協力を得て、事件の謎を
追うのだが……。(裏表紙引用)



柳さんハズレナシ記録更新中。
だ~~~~~~~(T_T)。。。最後の貴島の手紙はなんだーー!
感想の流れが変だけどエアロバイク漕ぎながら泣いてしまったじゃないかー!(どこで読んどるか)
このお話がそういう方向へ行くとは思っていなかったのですよ。。骨組みとしては、
密室殺人のトリックを暴く、というミステリとしての謎解きが主流だもの。正直言って、
そっちは相変わらず面白くなかったぜ!(笑)

何が良かったかと言うと、外国人から見た日本人の文化と戦後にみる監獄内の実情や
裁判の実体。いや、この作家さんのいつもの特性なんでこれが事実かどうかは
専門家に任せますけどね。そしてその世界観と独立しない、一人の元軍人(探偵)と
一人の日本人捕虜のドラマ!トリックが「またこれどっかの有名なネタ使ったね」と
いう印象だったので(すいません文句ばっかで)、その後に来るめくるめく
記憶喪失がらみの怒濤の展開には参りました。階段を一つ一つ登って行くような
心地の良さ。ああ、うっとり。。。

残念ながら、この作家さんを売り込もうにも売り文句がない。。
なになに賞とかを若干白い目で見ている自分でも、こういう時には肩書きを利用したくなっちゃうん
だよね。ずるいね。
でも凄く幅広くオススメの作家さんなんです。。(だから薦めにくいのかな。対象を
絞れない感じがする。。)今のところ、「柳さんダメでした」という報告は来ていないので(笑)、
これからという方も本書からいかがでしょうか^^。