すべてが猫になる

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gift  (ねこ3.9匹)

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古川日出男著。集英社


ショートショートよりも長く、短編にしては短く。150ページ弱で収められた幻想的で魅惑的な
19編収録の短編集。べるさんのご紹介で興味を惹かれたので早速読んでみました。
文字のフォントがびっくりする程大きく、上下の空間も広い。寝る前にちょっと・・と思って
深夜3時から読み始めたら止まらなくなって、4時すぎにはもう読み終わっていました。

1編1編浸らなくては勿体なかったかもしれませんが、もうこういうの読んでるの凄く幸せ。
「面白い」「楽しい」ではなくて、そういう形容が一番ぴったり来る。ここに収録された
作品群はどれも独特で少し不気味で、決して「幸せ~」なんて言葉は当てはまらないのですが
もうなんか疲れた体に染み渡って、空想が膨らんで行く感じ。
どれも不思議で曖昧な世界。
登場人物の年齢は3歳から中年から幅広いのだけども、全部同じ人間なんじゃないの?と
いう印象が強かったのが面白い。これが古川さんという作家のはみ出した個性で、
隠しようのない魅力。「あ、ちょっとベルカっぽいな」と思わせる作品もあったり。

どれも良かったけど、ちょっとロマンチックな『オトヤ君』、『夏が、空に、泳いで』、
生命力を感じる『ぼくは音楽を聴きながら死ぬ』、ちょっとブラックに笑える『アンケート』、
読み切った後にサブタイトルを見てほっとしてしまう『ベイビー・バスト・ベイビー・ブーム』が
好きかな。

さてさて、この『gift』というタイトルが皮肉なのか天然なのか、面白いですね。
誰へのギフトかって、もしかして私かな。




べるさん、ありがとうv(^^)v
この作家さんの本って、いつかどれかハズしそうで怖いんだけど一緒にがんばろー。