すべてが猫になる

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魔術師が多すぎる/Too Many Magicians (ねこ3.8匹)

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ランドル・ギャレット著。ハヤカワ文庫。


弁護士や科学者のかわりに魔術師が社会の要職を占めるもう一つの現代ヨーロッパ。その魔術師たちの
大会がロンドンのホテルで開かれようとした矢先、殺人事件が発生した。二階の一室で突如悲鳴が
起こり、主任法廷魔術師の刺殺体が見つかったのだ。しかも鍵のかかったドアは本人にしか
開けられぬ呪文で封じられ、窓の外では人々が閑談していた。この完璧な密室殺人の犯人として
被害者のライバルの魔術師が逮捕されたが、主任捜査官ダーシー卿はその処置に対し重大な疑問を
提示したのである!SFと本格探偵小説を組み合わせた異色の傑作長編。(裏表紙引用)




まずはお礼から。もねさん、本書を廻していただき本当にありがとうございました^^。
しろねこさん主宰、本学大学特別企画として開催中の、もねさん宅による『巡回ライブラリ』、
貴重な絶版本や伝説の傑作を実際に希望者の間で廻して感想を述べ合おうではないか、という
素晴らしいこのイベント。わたくしゆきあやは、以前から月野さん宅『Bミスマスター表』にて
チェックしていた本書をめざとく見つけ、早速ご依頼申し上げた次第。いや、実際図書館に
あるのでしょうがこうやって画像で現物を見せつけられると興奮してしまうではないですか。
「おお!実在している!本当にあったんだ!」と^^;

おいらが本書一番手です^^。ゆきあやの記事でもし興味を持っていただけたら、是非に
もねさん&しろねこさん(ファン登録必須!)へご予約を。わたくしゆきあやが、責任を持って
貴方のお宅へお送りいたしますことよ^^。

じゃあ感想v

☆       ☆       ☆       ☆       ☆      ☆



これは、ミステリという側面だけで読むとイタい目に遭ったかも^^;
Bミスなのかどうかは自分にはこれはわからない。トリックに関しては、ある海外超有名作品の
バリエーション。その作品を読んでない人は意外と多いと思う。でも、トリックを知ってる人は
多いと思う。というぐらいの。ただ、本書を傑作と称する方々も、それを知らない人は一人も
いないだろうと推察する。うーん、ネタバレをせずに感想を書くのは凄く難しい作品です。。
ギリギリかもしれませんが書かせてもらいますと、これだけ盛り上げて楽しませてくれて
期待させて、トリックがアレと関係ないと言うのは・・^^;;しかし!そこが
「B」と言わしめる由縁なのか?と考えてしまうのは自分もたいした考察が出来てないって事か。


・・と、ミステリ読みとして感想を述べたらこんな調子になるのですが、ここからが
本当の感想です。
トリックも、この画期的な設定も、何歩も前進しているのは確か。SFというより
政治的ファンタジー(なんだそら)の要素がわりと面白い。魔術師という設定の基盤も
繊細で感心する。魔術師は「人間」であるという記述には恐れ入った。万能ではなく、
出来る事と出来ない事がある。鍵そのものを部屋の中へ移動させる事は出来ない、
呪文は誰にでもかけられないし解く事も出来ない。必ずそこに「条件」があって、
魔術師なら可能だろうという甘い見解をことごとく不可能にする。
なら、どの条件が重なれば、誰に可能だったか。
そこは読んでいただくとして。ふふふ。


とにかく、コレはずっと気になっていた作品なので読めた事が満足v
こういう設定を思いついて、それが形になっているその事がもうもの凄い。
こんな本もございます。読書はサバイバルだぁ。






もねさん、改めまして感謝^^v