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消えた少年  (ねこ3.8匹)

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東直己著。ハヤカワ文庫。


学校では問題児扱いだが映画が大好きな中学生、翔一と知り合い意気投合した<俺>。ところが、
翔一の親友が惨殺死体で発見され、一緒にいたはずの彼も行方不明になってしまった。変質者に
よる誘拐か?暴力団がらみなのか?それとも、学校をも巻きこんだ障害者施設反対運動に関係が
あるのか?担任の教師、春子に翔一の捜索を依頼された<俺>は、彼の姿を探してススキノを
疾走する!新感覚ハードボイルド第三作。(裏表紙引用)



うおおー!シリーズが進めば進むほど面白さが増しているじゃないかー!
噂通り、だんだんだんだん事件が重たく残酷になって行きますねえ。謎解きとしてももう
ユルいとは言えなくなっている。
少年の殺され方が衝撃的すぎて、読んでいて唾が溜まって来ますけどこれは男性が読んだらもう
泣いてしまうのでは。。真相はそれなりに驚きの連続でありますが、だからこそこれって
理不尽な気がしてしまう。
障害者施設で演説をぶちかます区民達に今までにない憤りを感じている<俺>が見所なのだけど、
内心の突っ込み方がユーモラスなだけに、倫理観をふりかざすのではなくただ筋の通らないものを
嫌悪する<俺>のポリシーが浮き立ってかなりこれは自分の好みです。
消えてしまった少年のキャラも、<俺>の目線で描けば見事な絡み合い。<俺>が泣くなら
私も泣く。<俺>の喜びは私の安堵。
やっぱり感情移入って事件の種類じゃなくって相性だよ。