すべてが猫になる

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スクールアタック・シンドローム  (ねこ4.2匹)

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舞城王太郎著。新潮文庫


意地悪くも単行本『みんな元気。』涙の分冊から早1ヶ月。いつの間にか本屋でひっそりと第二弾
発売。なんとなく生きていても世界は回る。今回は表題作と「我が家のトトロ」、書き下ろしの
ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」の3編を収録。それぞれ中篇くらいの文量なので
読みごたえばっちりです。
実は第1弾の方の内容は既にほぼ薄れつつあるのですが^^;、こちらの作品集は濃い。濃いぞ。
作風も文体もいつもの舞城さんなので端折るとして、恒例の「家族愛」「友情」のテーマはそのまま、
今回は舞城さんの小説家としての力量を改めて感じた次第。

言葉の持つ語感を大事にする作家だと思っていたが、(けったいな擬音は抜きにしても)
一見はちゃめちゃだけど読んでると語呂が語呂語呂と気持ちぃぃ、だけどそこに意味だって
ちゃんと存在したんだな、と。え、遅い?知ってた?
喩えトイレの中で脳外科医になる決意をする出だしがあっても、ス○○ロだの大量殺人だの
扱う題材がどうかしていても、全ての短い作品にきちんと始まりがあって、
起伏があって、きちんと収まるところに物語が収まってしまうから感動的なんだ。

舞城さんと同じ賞を獲った佐藤友哉にはこの力はない。私がひっかかってたのはこれだった。