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甘栗と金貨とエルム (ねこ3.6匹)

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太田忠司著。角川書店

名古屋に暮らす高校生・甘栗晃は、突然亡くなった父親の代わりに、探偵の仕事をすることに。
依頼は、ナマイキな小学生・淑子の母親探し。『美枝子は鍵の中に?』謎めいたこの一言だけを
手がかりに、調査を始めた晃は、初めての「出張」で、大都会・東京へ。慣れない街に四苦八苦
しつつ、必死で謎に近づく晃だが、衝撃の事実を知り!?(あらすじ引用)


ええのお~~~~~~~。晃、ええのお~(*^^*)。。
晃の一人称で綴られるお話なんですが、彼の一人称が『私』なんですよ。(言って良かったかな)
17歳が『私』って^^;;くぅっ。この大人ぶりっこめ!(>_<)v
おねいさんは惚れちゃうぞぃ。
とりあえず、表紙とタイトルからして『ファンタジー』(冠かぶって衣装来て
敵を剣できんきんきーん!と倒すやつ。そして会った事のない母上と感動のご対面、みたいな)
だと思い込んでいたので、普通の探偵物語(青春ミステリってやつ)が始まった事に
びっくりもしたのですが。
もう一つ大きく意外だったのが、この本、対象年齢いくつかしらん?
大人向けのつもりで読んでいたので、ミステリとしての甘さと展開の甘さに
ある意味衝撃を(笑)。。どんでん返しには普通にべっくらしたのでエラそうな事は
言えないんですが。

それでも、成長物語としても青春ものとしてもこの作家さんは「ツボを知ってるなあ」という
感じで、とにかく晃を引き立たせる台詞、彼を引き立てる大人達の扱いがうまい。
だから最後の晃のベタベタな決め台詞がしらじらしくなく響くのね。
「正論は人を傷つける」というフレーズが何度も印象的に登場する物語だったけれど、
それでまっすぐに読者に伝わる「真実」。このラストシーンは凄いぞ。