すべてが猫になる

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夏への扉/The Door into Summer (ねこ5匹)

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ロバート・A・ハインライン著。ハヤカワ文庫。

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探し始める。家にたくさんあるドアの
どれかが夏に通じると信じているのだ。1970年12月3日、このぼくもまた夏への扉
探していた。最愛の恋人には裏切られ、仕事は取りあげられ、生命から二番目に大事な発明さえ
騙し取られてしまったぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんなぼくの心を
冷凍睡眠保険がとらえたのだが……。(あらすじ引用)


じーーーーん(T^T)。。。。。。

今まで読んだ数少ない「SFの傑作」の中でダントツに、ぶっちぎりで1番面白かった。
主人公の猫への愛情、理解が小気味良く嫌味でなく普通に共感でき好感を持てたのが
入り込めたきっかけなので自分の猫好きも多少関係しているかもしれないが、内容は
猫好きとかSF好きとか関係なく誰にでも感動と興奮を与えてくれるに違いないと思う。
SF、タイムパラドックスものとは言っても我が国では愛すべき猫型ロボット漫画が
おなじみだしこれなら抵抗のある人はいなかろうて。(そういえば、奴も猫だな^^;)

最初は主人公がちょっと根暗で生真面目で、内容もかなり哲学的な要素を含んでいるので
「海外の名作ってどれもこんな高いレベルが当たり前なのか??」程度の読み方だった。
夢中になり始めたのは主人公が信じていた友人に裏切られて何もかも失い、
冷凍睡眠から目覚めてとんでもない真実を目にしたあたりから。
ミステリーの要素も含みハラハラしつつ、SFである世界を有効に使われている事を楽しみつつ、
最終的には物語として盛り上がれるロマンとストーリー展開にドキドキしつつ。
このまま読んでしまっていいんだろうか?こんなに入れ込んでしまっては後で
辛い思いをしないだろうか?
だけどがっかりする必要も、悲しむ必要もどこにもなかった。
努力と情熱とほんの少しのセンチメンタリズムを持った平凡な技術者が猫と人を愛し、
未来をリアルに創造する仕事に携わり、自分自身の「冬の心」を打破し未来を掴むまで。

文句なく傑作です。猫のピートはとにかくめちゃくちゃにカッコいい。ネタバレなので
書けないけどあの登場シーンはコマ送りで思い出される作品のハイライト。

あんま記事でこれ書かないけど書くぞ。お薦めです。世のすべての本好きの皆様ぜひ読んで下さい。
(読んでる人の方が多そうだけど^^;)