すべてが猫になる

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連鎖 (ねこ2.8匹)

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真保裕一著。講談社文庫。

チェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で輸入
されていた!厚生省の元食品衛生監視員として、汚染食品の横流しの真相究明に乗りだした羽川に
やがて死の脅迫が……。重量感にあふれた、意外性豊かな、第37回江戸川乱歩賞受賞の
ハードボイルド・ミステリー。(裏表紙引用)


すいません、私これ半分もわかりませんT_T。いや、字は読めるので感覚で理解しつつ
物語を把握する事は出来るのですが。内容が専門的というか、題材がマニアックすぎます。
江戸川乱歩賞の審査員のお眼鏡に適いそうだなー、な正しく賢くカッコいい小説です。
一時期鳥インフルエンザ狂牛病問題が取り沙汰されたのは記憶に新しい為、
実際は自分たちの生活に身近な問題なわけで無関心ではいられませんし、日々色々な事に
アンテナは張るべきだとは思っているのですが。正直、私はその影響を受ける自営業の方や
食品業界のパートの方の生活とかを心配してしまうわけですよ。鳥問題で騒がれていた時に
周りの知り合いが煙草を吸いながら「鶏肉はあぶない」などと盛り上がっていたのを横目に
そんな事を考えていたわけですよ当時の私は。

それはさておき、本書。ハードボイルドだと言うし、素敵なキャラが活躍する傑作『奪取』の
前例があるからやっぱり比べてしまう。人物を一人一人書き込んでいる分
スムーズに読めるのだがどうも魅力がない。食品輸入問題に力を入れるならば
仕方ないかとも思うが、あとがきによると真保さんはそんなつもりはないらしい。
あくまで面白いミステリーの題材にたまたまこれを選んだだけだと。(その割に
テーマを掘り下げているし取材もかなりしっかりしていると思う)
しかししかし、だからこそこっちも余計なやりきれなさや悪人の嫌悪感を感じずに
サラッと物語の筋そのものを楽しめたのだから贅沢は言ってられない。
でもやっぱ、最後の二転三転する怒濤の展開は詰め込み過ぎだよー。