すべてが猫になる

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ぎぶそん (ねこ4.4匹)

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伊藤たかみ著。ポプラ社。第21回坪田譲治文学賞受賞作。


時は昭和63年。中学生4人が組んだ『ガンズ・アンド・ローゼス』のコピーバンド
目標は、文化祭ライブ。ギター担当のガクと、友人のマロ(ベース)、紅一点ドラマーの
リリィ。腕のたつギタリスト、かけるをリードギターに加え、バンドは幸先のいいスタートを
切ったかのように見えたがーーー。


すいません、本書は児童書です。さらにミステリでもありません。ふさわしい書庫がないので
とりあえずここに放り込んでおきます。今作ると自分の首を絞めそうなので^^;;
本来ジャンル外のものは記事にしないんですが、本書は感動しすぎたのでぜひここで
想いの丈をぶちまけたいと言う事でうきうきとアップいたします。


私が小学生の頃読んでいた児童文学の数々は、男対女、女対女という友情物語がやたら多かった。
本書より年齢設定はもう5、6歳下のものだったからか、(だって高学年になるともう
松本清張とか横溝正史を読み始めたので)児童書のこういう「青春と恋愛の物語」は
読んだことがなかったように思う。ちょっと新鮮だった。

どこかで書いたが、私も音楽をやっていてドラムを担当している。それが主人公の一人、
リリィちゃんとリンクしてしまったのと、ガンズのコピー(「パラダイス・シティ」だけど^^;)も
経験があったのとで本書に共感しまくってしまったようだ。
出だしでは「適当な事書いてたら途中でやめるもんね」となめていたが、なかなかどうして、
こっちがなめられる対象となった気がする。ガンズなんて中学生に演奏出来るかぁ~~~?という
心配ですら見事に吹っ飛んだ。

なんて正しくて、純粋で、まっすぐなんだろう。
普段の生活ぶりや会話、初恋の照れくささは中学生らしく幼いが、音楽、バンドに対する
スタンスはこちらが恥ずかしくなるほど正解だ。正解の一つ、という方がいいだろうか。
社会人となった今でさえ、その肝心なバンドの音が重なり合うグルーウ゛、リズム感、
こいつじゃなきゃ、というメンバーへの信頼がおざなりとなっているバンドは少なくない。
年齢、経験と共に技術と度胸は身に付くが、現在のぬるい自分の環境を振り返ってしまう。


別に、音楽をやっているいない、詳しい詳しくないは関係なく良書だと思う。
情けないくらいに自分は感動した。
今にも外に飛び出したいぞ。