すべてが猫になる

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受験生は謎解きに向かない/Kill Joy  (ねこ4匹)

ホリー・ジャクソン著。服部京子訳。創元推理文庫

高校生のピップにある招待状が届いた。試験が終わった週末、友人宅で架空の殺人の犯人当てゲームが開催されるという。舞台は1924年、孤島に建つ大富豪の館という設定で、参加者は同級生とその兄の7人。開始早々、館の主の刺殺死体が発見される。当初は乗り気ではなかったピップだが、次第にゲームにのめり込んでいき……。爽やかで楽しい『自由研究には向かない殺人』前日譚!(裏表紙引用)
 
大人気シリーズの前日譚。完結編がすごい終わり方をしたので、前日譚が出ると聞いた時「もういいよ…」と思ってしまったのだが、やっぱりいいものはいい。三部作が結構な長編なのに比べこちらは160ページとうっすうすなので、内容も薄いんじゃないかと思ってこれまたそれほど期待はしていなかったのだが…。。
 
高校生のピップたちが友人コナーの屋敷に招待され、マーダー・ミステリ・ゲームを繰り広げるという結構なガチの本格ミステリー。みんな自分の与えられた役割通りに喋ったり動いたりしてなかなか本格的。本編ではポッドキャストスマホ、ありとあらゆる最新機器を駆使して推理をしていたピップだけど、このゲームでは設定が1924年。スマホも取り上げられて、完全に丸腰のまま犯人を導き出さなきゃいけない。とはいえ招待状やメモなどの紙モノはリアルに挿入されていて、このシリーズらしさは保っているかな。ちゃんとリアルに掲載されている意味があるんだよ。ふふふ。
 
終わり方には笑ってしまった。こんなもんだよね、素人の作るミステリーなんて。そこからあれだけ合理的な推理を見せるピップはやっぱりすごいと思うな。なんだかピップの脳内から全身にアドレナリンが駆け巡って、ああこのゲームをきっかけに推理に目覚めちゃったんだな、、というのがよくわかる。三部作ファンは読んでソンなしだよ。