すべてが猫になる

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むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。 (ねこ4匹)

青柳碧人著。双葉社

一世を風靡したといっても過言ではない、日本のむかしばなしをミステリーで読み解いた『むか死』シリーズの最新刊にして最終巻。 あっと驚くミステリーのもとになったむかしばなしは「こぶとりじいさん」「耳なし芳一」「舌切人雀」「三年寝太郎」そして「金太郎」――いずれも趣向に富んだ、これまでの作品に勝るとも劣らない作品集。(紹介文引用)
 
「むか死」シリーズ最終作。
終わりなのかあ、残念。まだまだ続けられそうなのにねえ。ネタ切れとも思えないのだが、まあ仕方ないか。赤ずきんシリーズの方は続くのだろうか。。
5作収録。
 
「こぶとり奇譚」
人体の一部を取って別の人体に付けられる鬼の存在が効いてる。引っかき傷のあるこぶをつけたじいさん、果たして殺人を犯したのは本当は誰で、その傷はこぶを引っ付けられる前についたのかどうか。このシリーズならではのワクワクする特殊設定。なんとなくの想像はつくのだけどね。探偵役の意外さとかもあって贅沢な作品。
 
陰陽師耳なし芳一に出会う。」
芳一の耳だけちぎって持っていった亡霊という設定と、死体に経文を書いても亡霊にはその姿が見えちゃう、っていうのが事件をややこしくしていて面白い。陰陽師の女の子のキャラが立ってて、ラノベでもいけそう。
 
「女か、雀か、虎か」
「女か、虎か」と「舌切り雀」のミックス。3つのつづらで3パターンの結末+真相で4パターンあるのがすごい。どれを選んでもそうなるのか~、と思わせてのどんでん返し。最後の1行がこの物語の場合あまりしっくりこなかったんだけど、特に意味はないのかな。本家のほうっぽく締めたかっただけ?
 
「三年安楽椅子太郎」
12歳の女児、なえがお殿様に安楽椅子太郎が解決した事件の話を通い聞かせるお話。雪女の話も出てくる。爆死した忍者や若返りの泉などなどにまつわる様々な反転トリック、さすが。笠地蔵のお話が好きなので関連しているのも良かった。
 
「金太郎城殺人事件」
前のお話で登場したなえや太郎も出てくるのが嬉しい。お城で起きた連続殺人事件を解決するのは――。今までのお話に出てきたアイテムなどを駆使して、犯罪を本格ミステリーばりに解き明かしていくスタイルが気に入った。図解もあるしね。全部が繋がるのが爽快。
 
以上。
多少、ご都合主義的なところもあるにはある。けどまとまっているし、パワーで押し切っちゃう感じはアリだと思う。今回は特に知っているお話ばかりだったのでノリやすかった。読みやすくもなってるかも?