すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

でぃすぺる  (ねこ4匹)

今村昌弘著。文藝春秋

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ 小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。 ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。(紹介文引用)
 
今村さんの新刊。「~の殺人」シリーズはもう一段落したのかな。。できればそっちが読みたかった。こちらはジュブナイルということで、主人公は小学6年生。オカルト好きの酒屋の息子ユースケ、優等生で親が弁護士のサツキ、ちょっとクラスから浮き気味のミステリアスな転校生ミナの3人が掲示係になる。サツキの従姉真理子が去年運動公園で刺殺され犯人がまだ捕まっていないこと、真理子が残した6つの怪談ともう1つの明かされていない怪談が手がかりになるはずだと確信し3人は調査を始める。。
 
子どもならではの不自由さ、思考能力の不足を周りの大人の協力や好奇心や行動力で補う感じ。協力してくれる大人がいるかわりに彼らの行動を制限しようとする大人もいる。その理不尽さに憤りながらも友情と使命感に燃える3人にとても好感を持てた。全く接点のない3人が自然に仲良くなり絆を深めていく描写も丁寧だったし、推理のルール決めなども子どもとは思えない冷静さを持っていると思う。
 
まあその、作品の性質上このキャラが好きとか言うだけでもネタバレになってしまう(この人が好きだったとか書いただけでこの人は最後まで犯人、悪人ではないのだなと予想がついてしまうよね~~~)ので内容はここまで。ちょっとジュブナイルにしては内容が難解かなと思った。普通に大人が読むミステリー並みの難易度はあると思う。個人的にはこのオチ、真相は今村さんらしいと思うのだけど、人によっては反則だと思うかもねえ。。