すべてが猫になる

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優等生は探偵に向かない/Good Girl, Bad Blood  (ねこ4匹)

ホリー・ジャクソン著。服部京子訳。創元推理文庫

友人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が明らかに……。『自由研究には向かない殺人』待望の続編。この衝撃の結末を、どうか見逃さないでください!(紹介文引用)
 
大ヒットした前作「自由研究には向かない殺人」の続編。これは絶対に前作を読んでから読まないと、冒頭から前作のネタバレのオンパレードを食らう。前の事件からそう日にちが経っていないのでまだ解決していない問題(マックスの婦女暴行事件など、裁判は続く)が山積み。ピップも散々な目に遭ったので、前向きな気持ちで新しい事件に取り組めるはずもなく。。しかし親友の兄が行方不明ということなので気力を振り絞って頑張った。
 
今回もSNSを駆使してイマドキの女子高生らしく捜査が進む。LINE画面のスクリーンショットポッドキャスト、証拠品の写真を掲載するなど凝りに凝っていて楽しい。まあ、内容は全然楽しくないが。。へたすると、犯人や重大な秘密を持ち行方不明事件に関わったあの人の方が感情移入できるかもしれない。それよりもピップを中傷するネット民や幼稚なピップの友人、のうのうとのさばっているレイプ犯などのピップを取り巻く悪質な周りの人々が不快。高校生にこれだけの荷を負わせるのはちょっと。。。タイトルは皮肉なのか直接的なのか分からないけれど、決して「優等生」ではないピップは正義感を抑制できず悪に立ち向かい、時にはキレて暴力に走る。そこが他の「大人の探偵」にはないシリーズの魅力なんだろうが、痛々しかった。まあ、恋人未満のラヴィや親友のカーラ、優しい両親がいるから大丈夫だろうが。。
 
行方不明事件は解決したものの、まだまだ天誅を下していない人物はいるしピップの評判はどうなったのかなど気になることがてんこもり。個人的には前作よりスラスラと読めて面白かったので、第3弾を楽しみに待つ。