すべてが猫になる

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熊金家のひとり娘  (ねこ3.5匹)

まさきとしか著。幻冬舎文庫

北の小さな島で、代々娘一人を産み継ぐ祈禱の家系に育った熊金一子は、神と畏れられる祖母と「血」から逃れるため島を出る。やがて大人になり、男の子の母親になることを願う一子が産んだのは――やはり女だった。明生と名付け息子のように育て愛そうとするが、ある日明生が失踪。一子は「バチが当たった」と怯えていた。母娘の愛を問うミステリ。(裏表紙引用)
 
まさきとしかさん、文庫読破かな。
 
本書は北海道の閉鎖的な村で祈祷師の家・熊金家に生まれた一子という女の一生と運命を綴ったお話。熊金家の女は必ず女の子をひとりだけ産み、跡を継がなければならない――そんな異常とも言える祖母の呪縛に囚われ続けた一子。しかし産まれたのは男の子だった。一子は長男を女の子として育て、次女のことは普通に女の子として育てる。そんな環境で育った息子がまともになるはずはなく――。
どれもこれも、異常な風習が生み出した不幸の連鎖という気がする。元凶はあの祖母じゃないの?と思うぐらい、いくら閉鎖的な土地とはいえ時代にそぐわない風習。完全に虐待。しかし血は争えないのか、一子の一生は男に翻弄されていく。
 
うーん、前半はテーマがはっきりしていて良かったのだけどあまり伝わるものはなかったような。まとめると先に書いたようなことになるのだろうけど、刺してくる感じがなかったというか。印象としては、光るものはあるがまだまだまさきさんが完成される前の作品。