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ブラック・スクリーム/The Burial Hour  (ねこ4匹)

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ジェフリー・ディーヴァー著。池田真紀子訳。文春文庫。

NY(ニューヨーク)の路上で男性が拉致された。ほどなく、監禁された姿が動画サイトにアップされる。被害者の苦痛のうめきをサンプリングした音楽とともに――。アップロードした主は自称「コンポーザー(作曲家)」。科学捜査の天才リンカーン・ライムはすぐさま監禁場所を割り出す。しかし犯人はイタリアへ逃亡。ライムたちも後を追って、ナポリへ向かう。(上巻裏表紙引用)
 
リンカーン・ライムシリーズ第13弾。
 
読み終わるのがいつも残念なリンカーン・ライム最新文庫。今回の犯人<コンポーザー>、何度も何度もライムチームに先手を打たれて殺人に失敗するのでひょっとしてたいしたことない…?と思って読んでいたら、もちろんそんなことはなかった。というか、今までと毛色が違う。いつものロンやメルのようなライムチームはほとんど登場せず、ライムはサックス&トムと共にイタリアへ飛んじゃうのだ。そしてイタリアの警察と手を組んだり煙たがられたりするなどしてコンポーザーを追い詰める。全く話の通じない検事スピロや森林警備隊エルコレ(本人曰くきのこのおまわり)などのイタリアチームのキャラクターが立っているので、いつもと変わらず楽しめた。恋愛沙汰が混ざったりするのもいい。スピロもなんだかんだ、本当にイヤな奴ではないみたいだし。ライムにしては小さめの別事件(レイプ&寃罪事件は決して小さい犯罪ではないが)も同時進行で請け負ったりと、これがどう繋がるのだろう?とワクワクする。いつも以上に「えっ、あの人が」「えっ、被害者ってみんなそうだったの」と驚きの真相が用意されているので、決して今までに比べて見劣りしない。殺人らしい殺人があまり起きなくても、実はもっと大きな犯罪かもしれない。そしてラストのライムとサックスがついに、、のシーンで感涙。
 
ページ数の都合なのか、「誓い」という短編(ライムシリーズ)が同時収録されていた。同じホテルに泊まった夫婦の妻のほうに夫の怪しい行動の謎を解き明かして欲しいと頼まれるという、小粒な事件。でも短編ながら色々どんでん返しが詰め込まれていてなかなか良かった。イタリアで世話になったエルコレも登場するしね(電話だが)。イタリアチーム、また登場しないかな。