すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ブラックサマーの殺人/Black Summer  (ねこ4匹)

f:id:yukiaya1031jp:20211028192409j:plain

M・W・クレイヴン著。東野さやか訳。ハヤカワ文庫。

かつて刑事ポーによって一人の男が刑務所送りにされた――カリスマシェフとして名声を誇ったジャレド・キートン。 彼は娘のエリザベスを殺した罪に問われたのだ。だが六年後のいま、その娘が生きて姿を現した! キートンは無実なのか? あらゆる証拠が冤罪を示し、窮地に立たされたポーを助けるべく、分析官のブラッドショーが立ち上がる。強烈な展開が読者を驚倒させる、英国ミステリ・シリーズの第二作。(裏表紙引用)
 
ストーンサークルの殺人」に続く、刑事ポーシリーズ第2弾。前作がとても良かったので早速。
 
前作でポーが娘を殺害したサイコパスシェフ・キートンを逮捕してから約6年。だが、その娘エリザベスが生きて現れた。ポーは各方面から無実の男を刑務所送りにした刑事として非難される。DNA鑑定は確実に娘本人であることを示していたのだ。だがポーは自分の刑事としての観察眼を疑っていなかった。キートンは絶対にやっている。鉄壁の証拠を突き崩せるか?
 
鳥を残酷な方法で調理するシーンののちポーが逮捕されるという衝撃的展開で幕を開ける。DNA鑑定という何よりも確実な証拠を前に、ポーやティリー、フランが執念の捜査を続け、その驚きのトリックや数々の欺瞞、手口を暴いていく。登場する病理学者が個性的でユニークだし(遺体にネイルを塗るのはどうかと)、ティリーの突拍子もない発言や行動(自然環境厳しいポー宅に地図とコンパスを持って現れたり)も健在でシリーズものとしての面白味がますます増している感も。キャラのしっかり立ったサイコパスに負けない魅力を放つポーのチームもいいが、反発していると見せかけてイザという時には一致団結するNCAのみなさんの活躍も見もの。ポーのパーソナルに迫った意外なラストシーンも引き付ける。前作に負けない圧倒的面白さ。