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虚構推理短編集 岩永琴子の純真  (ねこ4匹)

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城平京著。講談社タイガ

<シリーズ累計400万部突破!> 妖怪達の知恵の神である岩永琴子のもとには日々、彼らの悩みごとが持ち込まれる。 美しき雪女から届いた依頼もそのひとつ。 愛した男が殺人の罪を着せられ窮地に陥っているという。 そのアリバイを知るのは、法廷に立てぬ「人外」の雪女のみ……。 琴子の捜査の末に明らかになる意外な真実とはーー? アニメの2期も制作決定! 絶好調の本格ミステリ大賞受賞作シリーズの最新作!(紹介文引用)
 
虚構推理シリーズ第4弾は5編収録の短編集。わーい。
このシリーズ好きすぎて、キンドルで漫画も買っちゃったぃ。(まだ2巻だがちびちび集めます)コミカルでアクションもアツくて絵もセンスもイメージ通りなのよね。
 
「雪女のジレンマ」
100ページ弱の中編。これは傑作。人に裏切られてばかりの青年が雪女に見初められた。殺人事件の容疑者になったが、アリバイを証明できるのは雪女だけ。人間心理を突いた琴子の嘘推理が冴える。ソフトクリームを食べ歩きしたり天ぷらをリクエストする雪女に萌える。。
 
「よく考えると怖くないでもない話」
これはショートストーリーくらいの文量。空き家の整理のバイトに参加した九郎。そこで起きると言われる怪異の真相を琴子が推理する。なんてことない話だが、妖怪の宴会のために皿回しの練習をする琴子に萌える。
 
「死者の不確かな伝言」
琴子の高校時代のミステリ研の同級生・怜奈が九郎の従妹・立花に語って聞かせる当時印象に残った困ったダイイングメッセージ事件。これまた人間の心理を深く理解した琴子の推理に周囲はびびる。立花さん、九郎と同じく謎の能力があるもよう。再登場するだろうね。
 
「的を得ないで的を射よう」
猿の妖怪二匹が、拾った弓矢の所有権をめぐって争う話。九郎の頭の上にリンゴを乗せて弓を引き勝負させる琴子。そら嫌われるわ。
 
「雪女を斬る」
100ページ強の中編。江戸時代の先祖が雪女に斬られたという話を持ち込まれた琴子が今際のきわにつぶやいた「ゆきおんな」という言葉の真相を推理する。剣士の話だし、歴史モノでもあるのでかなり読むのがしんどかった。が、ドラマ性があっていい話。
 
以上。
 
今回も虚構推理らしさ全開で楽しかった。琴子の嘘推理はときに容赦がないけれど、最終的に登場人物すべて丸く収まるのがいい。実は妖怪に真相を聞いていたというオチも健在だが、虚構推理自体相当頭が良くないと出来ないわけで。九郎に冷たくされるもなんだかんだ愛されているツンデレ風味がなんとも良き味わい。漫画のノベライズ的な感じみたいね、この本。