すべてが猫になる

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悪徳の輪舞曲  (ねこ4匹)

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中山七里著。講談社文庫。

報酬のためには手段を選ばない徳弁護士・御子柴礼司の前に、妹・梓が三十年ぶりに現れる。梓の依頼は、旦那殺しの容疑で逮捕されたという母・郁美の弁護だ。悪名高き〈死体配達人〉が実母を担当すると聞き動揺する検察側。母子二代に渡る殺人の系譜は存在するのか? 「御子柴弁護士」シリーズの最高傑作。(裏表紙引用)
 
御子柴シリーズ第4弾。
 
前作では恩師・稲見を弁護したかと思ったら、今回はなんと母親の弁護をする御子柴。かつての幼女バラバラ事件の加害者(御子柴)が、母親が夫を自殺に偽装して殺したとされる事件を弁護する。地獄ですな。。しかも御子柴に恨み骨髄の姉・梓が依頼人。身内が猟奇殺人犯、その身内がどういう人生を歩むか。想像できるけれど想像以上に苛烈。人は正義の盾を持って叩く対象を探す生き物なんだと痛感する。梓の訴えに対して全く悪びれもしない御子柴の姿には時々眉をしかめたくもなったが、それでもチラチラと「家族」に対する未練のようなものが感じられる。本気でああ思っているのだとしたら、今まで贖罪だのなんだの言っていたのは何だったの、ってなるからね。最後の最後にお決まりのどんでん返しもあり(え、そっち?っていう衝撃)、相変わらず失速しない最高の面白さ。
次文庫出てないんだよね、どうしよう。