すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

八月のくず  (ねこ3.8匹)

f:id:yukiaya1031jp:20211010134739j:plain

平山夢明著。光文社。

おしまいにする前に読んでくれ。絶望の果てまで届く物語を。これは、明日なき世界の福音だ。――出世作となった『独白するユニバーサル横メルカトル』の原点に回帰し、珠玉の10作品をまとめた圧巻の最新傑作集。(紹介文引用)
 
平山夢ちゃん先生の新刊。
 
くず作品10作収録の充実した内容。今回も、どの作品もくず中のくずばかりが出てくる。極道や売春、SF世界、事故被害者遺族など、不運な環境変化や生まれ持っての境遇の悪さなど、くず一直線の人生がハタから決まっているような舞台ばかり。グロ描写も一層際立っていてえずきそうになるものもしばしば。。赤子であろうと女性であろうと容赦のない暴力と排斥にまみれたこの世界は、平山ファンならよだれを垂らして喜ぶであろう情熱にあふれた作品ばかり。恋人を原型のない状態にまで轢きつぶす男の末路や、売春を強要され産み落とした息子を極悪非道に育て上げる母親、飲酒運転のトラックに殺された娘のために狂気に身を堕とした母親など、とにかく出だしもひどければ結末もひどい作品ばかり。
 
ちょっと今回、自分の波長に合わずで響く作品はなかったかも。。設定のよく分からないSF作品なんかもあり。その嫌悪感を作品パワーで塗り替えてくるのが平山作品の読み方だったのだが、最近の自分はこういうのを喜べるメンタルを保ってないんだと思う。。作品そのもののレベルは保たれていると思うので、ファンの人にはオススメしておく。