秋吉理香子著。実業之日本社文庫。
沙織が地元の結婚相談所で紹介された男・杉下はハンサムで真面目、収入も十分だ。しかし、相談所に入会して三年たっても結婚相手がみつからないという。何か裏があると感じた沙織は、これまで杉下が紹介された女性たちに会いに行くが、驚愕の事実が…(「理想の男」)。婚活をめぐり、運命のどんでん返しが待ち受ける、サプライズ満載ミステリー! （裏表紙引用）
婚活をテーマにした、４編収録の短編集。どれも秋吉さんお得意のイヤ～な感じが出ていて、さらにラストに思わぬどんでん返しがあって面白かった。
「理想の男」
３９歳でやっと結婚相談所に登録した沙織は、好条件の男性を紹介され、なぜこんないい男が未婚なのかと訝しんでいた。聞くと、今まで交際した女性の３人が３人とも亡くなっているというのだ。
まあ、真相はお察しのとおりなのかなと思いきや、そこまでストレートではなくちゃんと裏があった。軽いジャブって感じかな。
「婚活マニュアル」
マニュアル本の教えを守りながら街コンに参加した洋介。その会場には男なら誰もが狙うであろう気配りが出来料理がうまく性格のいい美人が。幸運にもその女性に選ばれた洋介だが…。デートのたびに高額のプレゼントや食事。騙されていると自覚しながら、それでも美人を連れて歩きたいからやめられないというプライド、全く全然ちっとも分からんわ。まあこれにもすごい裏があったわけだけど、そもそも洋介みたいな男、射程に入れなくて良くない？
「リケジョの婚活」
ナイナイのお見合い番組をモデルにしたお話。リケジョがデータを駆使して一番人気男性を落とすため頑張るお話。人間が計算とおりに動くわけない、の典型でなかなか面白いが、大事なのは＜その後＞。リケジョってここまでやってやっとリケジョなのね。これが一番好きかな。
「代理婚活」
親が子どもの代わりにお見合いをするという代理婚活。セレブ一家になぜか気に入られて有頂天になっている益男夫妻。しかも益男は相手方の奥さんに一目惚れ。息子はその気がないのに、自分が奥さんに会いたいがために嘘を重ねていく。。
普通に考えたら、有り得ないって分かりそうなもんなのにね。それに、こんだけ格が違う家庭と付き合うのしんどいけどな、私なら。益男にイライラしたけども、なんだかんだうまい話には裏がある系のお話。益男夫婦のちょっといい話、みたいに終わってるけど、益男がおバカすぎて、、これどうなん。まあ、結婚してても別の異性に惹かれるその気持ち自体はしょうがないのかもしれないけど。
以上。
後半２篇が特に良かったかな。婚活中毒、と言っても婚活に狂ってるキャラが出てくるとかではなく、どれも別のお話。婚活で空回りする人びとを描いているけれど、単に茶化してる感じでもなく、ちょっと考えさせられるところもあったり。まあしかし、ちょっと結婚に夢見すぎというか、視野が狭い人びとのお話かな。
