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監禁探偵  (ねこ3.7匹)

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我孫子武丸著。実業之日本社

下着を盗もうと、憧れの女性の部屋へ忍び込んだ山根亮太。 ところが、そこには女性の死体が…! しかし亮太は警察に通報できない。 なぜなら彼は、自室に美少女「アカネ」を監禁しているからだ。 翌日、死体を発見した警察は、殺人事件の容疑者として亮太を徐々に追い詰めていくが…… (第一話 山根亮太) 轢き逃げに遭い、重体で搬送された少女。 “神の手"を持つ天才外科医に奇跡的に命を救われるが、目を覚ますと記憶喪失に。 「アカネ」と刺繍されたハンカチだけが身元に繋がる手がかりだった。 やがて、看護師飛び降り事件や幽霊騒ぎが発生。 事件に強い関心を示す少女「アカネ」の勘の鋭さに気づいた研修医・宮本伸一は…… (第二話 宮本伸一) 美しき少女「アカネ」――彼女の正体は天使か、悪魔か?デビュー30周年をむかえた新本格のレジェンドが、同名人気コミック原作を自ら小説化。 言葉だからこそ表現可能な新しい物語が誕生! 人間心理の歪みに迫る、驚愕のミステリ! !(紹介文引用)
 
我孫子作品、これで読破~。
うん、これはなかなか面白かった。……が、タイトルと表紙がなんとなく変態チックなため読者としては恥ずかしいぞ。作風の幅広いことで定評のある我孫子さんだが、ついに変態小説を?!と手が震えてしまった。
 
もちろん内容は変態ではない(若干倒錯しているものの…タッチが少し西澤氏っぽいものの…)。アカネと名乗るロリータファッションの少女が、フリーターの下着泥棒(余罪、盗撮)の部屋に監禁されつつ男の巻き込まれた殺人事件を推理で解決したり、ひき逃げに遭って入院している病院で起きたナース飛び降り事件を解決したりする極めて面白いアクションミステリーなのである。変態ではない、変態では…。。
 
様々な所に現れては事件を解決し、最終話では大筋の事件(アカネ自身の謎)に迫る構成が良かった。1話と2話に登場した、アカネに関わりのある男(フリーターと研修医)が最終話でドッキング、2人で力を合わせてアカネの消息を辿り謎を解明するというのはなかなか新しい。アカネが探偵に徹底した連作短編集のほうが好みではあったが…。アカネの正体が誰であったのかは読者の想像に委ねられていて、このあたりも好みが分かれるかも。
 
これは続編があってもいいな~。