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四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング  (ねこ4匹)

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早坂吝著。新潮文庫。 

「犯罪オークションへようこそ! 」 犯人のAI・以相(いあ)が電脳空間で開催した闇オークション、落札したのは、従姉を何者かに殺され、復讐のための殺人を叶えたいというひとりの少女だった!?以相による殺意の連鎖を食い止めるべく、探偵のAI・相以(あい)と助手の輔(たすく)がわずかな手がかりを元に辿り着いたのは――雪山に佇む奇怪な館「四元館(よんげんかん)」だった。そこに住まう奇妙な四元(よつもと)一族と、次々巻き起こる不可思議な変死事件……人工知能の推理が解き明かす前代未聞の「犯人」とは!? 本格ミステリの奇才が“館ミステリ"の新たなる地平を鮮烈に切り開く!(裏表紙引用)
 
探偵AIシリーズ第3弾。
 
今回は館モノ。燃えて渡れない橋、切断され使えない電話、仮面をかぶった男、館ミステリの定番のシチュエーションてんこ盛りだが、早坂さんの場合はそれに「食べられるロボット」「水平線効果」「誘電エラストマー」が加わる。まあそもそも主人公がAIという小説である。だからこの人をバカにしたような超絶トリックも、現代と設定を照らし合わせれば充分論理的なのである。トリックを頭の中で映像化して頑張ってみようとしてもなかなか凡人には難しい。マンガでもいいから誰か頑張ってみないか。
 
ある人物の命がいつも助かるのも早坂さんの人の良さが現れてるのかなあと思ったり。探偵相以とライバル以相の対決も中盤はおとなしめだが後半で一触即発になるのでまあ色々な面で満足のいく出来かな。