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暗黒女子  (ねこ3.9匹)

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秋吉理香子著。双葉文庫

名門女子高で、最も美しくカリスマ性のある女生徒・いつみが死んだ。一週間後に集められたのは、いつみと親しかったはずの文学サークルのメンバー。ところが、彼女たちによる事件の証言は、思いがけない方向へ―。果たしていつみの死の真相とは?全ての予想を裏切る黒い結末まで、一気読み必至の衝撃作!(裏表紙引用)
 
初読み作家さん。ずっと気になっていたので予約してみたら文庫が来た。まあ全然いいんだけど。ジャンル的にはイヤミスかな。
 
舞台は聖母女子高等学院の文学サークル用サロン(シャンデリア、アンティークソファ、ウェッジウッド、大型キッチン、本棚ではなくシェルフ、蔵書ではなくブック・コレクション。マドレーヌが焼けましたわオホホホホ的な。はあそうですか。。)会長の白石いつみは1週間前に転落死していた。定期的に開催される闇鍋朗読会で、いつみの死を偲ぶための創作小説朗読会が始まったが。。。。というお話。進行役はいつみの親友(BFF、ベストフレンズフォーエバー、らしい。お、おお。。)である澄川小百合。「告白」を思わせる語り口と出だしで惹きつけられる。そして創作小説とは言っても、全員が自分を主人公にした私小説という感じ。いやあ、これがねえ。。奨学生、料亭の娘、ブルガリアからの留学生、医師志望、現役ラノベ作家など結構クセが強いから面白い。それぞれがいつみとの思い出や出来事を述べていくのだが、これが全員が全員言い分が違って、違う犯人を名指しするっていう。前の人と次の人が、同じ出来事を描いていてもまるで言い分が違っていて、一体誰が本当のことを描いているの?という感じ。聡明で美しくて清らかないつみ像も、どんどん崩れていくし。
 
いつみがだんだん具合が悪くなっていったり、爪や髪が伸びていった理由は最後にある人物の小説が発表されることで判明。窃盗犯と思われた生徒は実は。。家が全焼したあの子は実は。。仲良さそうに見えたあの人は本当は。。などなど、すべてが最後に判明しちゃう。見えていたものが人によってこんなに違うっていうのは女子ならではなのかも。まあリアリティはないし、普通の人には縁のないレベルの黒さではあるけども。だから「暗黒」なんだろうけど。私はこれなかなか好みだったな。いい出来だと思う。この作家さんの本いろいろ読んでみよう。