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青列車の秘密/The Mystery of the Blue Train  (ねこ3.8匹)

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走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!新訳でおくる初期の意欲作。
 パソコンの通信状態がイマイチでした。お久しぶり。
 
クリスティ書庫再開。10代の頃に読んで以来久々の再読。ポアロシリーズ(第6弾)ながらも映画化されることもなく、人気投票に名前が並ぶこともない作品なので自分も記憶がほとんどなかったがなかなかの意欲作だったと思う。
 
ミス・マープルでおなじみセント・メアリ・ミード村の住人、ミス・キャサリンが昔お世話をした大富豪の遺産をそっくり受け継いだ。関係性の薄かったいとこたちからの誘いを受け、ブルー・トレインに乗車するキャサリン。一方、アメリカの大富豪の娘・ルースも列車に同乗していた。やがて離婚問題や不倫問題を抱えるルースは何者かに殺害、所持していた高価なルビーも盗まれてしまう。列車内にはルースの夫、その浮気相手、そしてエルキュール・ポアロも乗車していたが…。
 
色々複雑だが、その分人間ドラマのドロドロ具合がハンパない。お金持ちになった途端接近してくる親戚っているんだな。。分かってて誘いに乗るキャサリンもキャサリンだが。ルースの夫ケタリングや恋人もかなりのクズっぷりだが、ルースの不倫相手も相当怪しい。。そんなドロドロの中、まともそうな人にも色々ある、っていうのが読みどころ。トリックや顔を傷つけた理由は面白いしミスリードも楽しめる。オリエント急行のように列車内だけで物語が進行するわけではないので、ラストの急展開についていくのが結構大変。オカルトチックな要素や動機の意味不明さだけが瑕疵といえば瑕疵かな。
 
ところでこのミス・キャサリンはクリスティ作品きってのモテ女かも。。登場人物は男女問わず、ポアロまでがデッレデレで見てられない。映像版ではとても透明感のある綺麗な女優さんが演じていたのでまさに適役だったなあ。話は全然変えられてたけど。。映像ではオリエント急行への伏線あり。