すべてが猫になる

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明日なき暴走  (ねこ3.8匹)

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歌野晶午著。幻冬舎文庫

じつはディレクター長谷見のヤラセだったTV人気企画「明日なき暴走」内の若者たちの無軌道な行動。それを知らぬ若いネクラ美容師が若者たちと交錯し殺人鬼に変貌、凶行を重ねる。長谷見は視聴率アップを狙い暴走の末、職務停止に。だが彼は警察の裏をかき殺人鬼にコンタクト、なお映像に収めたい…。大どんでん返しに読者は戦慄し言葉を失う!(裏表紙引用)
 
「ディレクターズ・カット」改題。元のタイトルのほうが万人向けで良かった気がするんだけどな…。でも内容はどっちでも合ってる。
 
ストーリーや構成、ラストのどんでん返しなどさすが歌野さんと言うべき面白い作品なのだが…。これもまた歌野さんらしさ、登場人物が全員クズという。。出だしの「無軌道な若者」はもう本当にヒドかった。コインランドリーの洗濯槽の中に入って撮影とかファミレスで店員に難癖つけまくって土下座させるとか…。仕込み以前の問題、でも実際にこういう事件を起こす人間の心理や性質ってリアルにこんな感じなんだろうな…。こういうことをした時点で将来が閉ざされて、精神的にも満たされなくなって、一生自分の人生をつまらなくさせるだけなのにね。まあそれはいいとして、次に出てくる美容院見習いの川島も結構ヤバい。イジメられていても仕事にちゃんと行ってるのはマジメでいいし、Twitterに罵詈雑言書き込むのも分からんでもないけど…。違う方向に発散して欲しかった。でも美容室の連中はホント腐ってるね、としか。主人公のディレクター、長谷見もテレビ業界に悪いほうに染まってるゲスだしなあ。誰に同情していいのやら。。面白いし一気読みだけど、不快すぎて判定が難しいところ。