すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

どこの家にも怖いものはいる  (ねこ3.7匹)

f:id:yukiaya1031jp:20200801225457j:plain

三津田信三著。中公文庫。

三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が…。しかも、この話を読んだ者の「家」には、それが訪れるかもしれないらしい。最凶の「幽霊屋敷」怪談!(裏表紙引用)
 
こえーよ。。。。。
 
というわけでタイトルが気になってた三津田作品第二弾。表紙もコワイ。。先日読んだ「怪談のテープ起こし」と似たところがあって、それは作者の体験したノンフィクション形式で描かれているということ。もちろんフィクションなのは分かっているのだけど、メタ方式というのかな。5つの怪談話の間に挟まれる<幕間>では三津田さんが登場して、実際の三津田さんの作品名なんかが出てくる。このあたりはリアルっぽい。作品の裏側なんかを知れるのは嬉しいところ。
 
仲良くなった編集者・三間坂から教わった、「時代も場所も違うけどなんだか共通点がありそうな気がする~~」怪談の数々。新築の壁紙に描かれた<柵>の中に消える子ども、大工の息子が森で追い回された<割れ女>、ハイツの隣室の女性の部屋から不気味な音が聞こえる大学生、宗教にハマってしまった家族の元へ乗り込む三女の恐怖体験などなどなど、どれもとにかくコワイ。大学生の見た踊る老婆とかほんとにゾワっとした。。そして全ての話が最終話を経て、三津田さんの推理と調査によって共通点を見つけるわけだけど。結構強引ではあるものの、「そう考えたほうがコワイし面白い」解決なんだと思う。さらに読者を脅して来てるし、遊び心のあるホラーミステリ。三津田さんの本領発揮してる作品かも。次どれ読もう。。これハマるわあ。