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濱地健三郎の霊なる事件簿  (ねこ3.6匹)

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有栖川有栖著。角川文庫。

探偵・濱地健三郎には鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の刑事も秘かに足を運ぶほどだ。ホラー作家のもとを夜ごと訪れる幽霊の目的とは?殺人事件の被疑者が同時刻に複数の場所にいたのは、トリックか生霊か?生者の嘘を見破り、死者の声なき声に耳を傾ける心霊探偵が、驚くべき謎を解き明かす。ミステリと怪異の融合が絶妙な、新シリーズ!(裏表紙引用)
 
有栖川さんの新シリーズ…と書いてあるということはシリーズ化するのかな。7篇収録の連作短篇集。
 
「心霊探偵」を名乗る年齢不詳の男・濱地健三郎が主人公。その名の通り、彼には様々な心霊が視える。心霊にまつわる不可解な出来事や事件を依頼され、助手のユリエと共に解決していくという物語。
 
濱地についてわかることは、独身で、事務所ビルの上で生活しているということぐらい。容姿端麗っぽいかな。クールな感じだけど、優しさもあるみたいな…。ちょっと火村さんと被っているような被っていないような。ユリエは元漫画家志望で、似顔絵がうまい。仕事の影響で「視える」能力が覚醒されたという設定なので、まあ色々役に立つ。
 
いや、まあ、読みやすいしいいんだけど。濱地が霊と対話したり視たりして、霊の気持ちやなんかを聞き取ったり見た目から真実を推察したり。基本的には最初の疑惑とは違う真相が暴かれたりと面白いのだが。ミステリーというよりは、依頼人と霊のカウンセラーみたいな役割だったような。。館ものみたいなものもあるし、仲のいい刑事が持ってくる事件もあったりとバラエティには富んでる。が、禁断のオチを使っていたり(「分身とアリバイ」)腰くだけな作品もちょこちょこ。。キャラはまあ、良くも悪くも。
 
しつこいが本当にシリーズになるのだろうか。いや、嫌いではないんだけども。できれば有栖川さんに限らず、長寿の人気シリーズをお持ちの方は、ある程度の年齢になられたらまずは完結させていただきたい。不吉なことを言うもんじゃないけど、火村シリーズも館シリーズ京極堂シリーズも未完のままになるのが怖い。