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魔神の遊戯  (ねこ3.9匹)

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島田荘司著。文春文庫。

ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか? 名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動……。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。(裏表紙引用)
 
御手洗潔シリーズ第16弾。
 
御手洗さん、スウェーデンの博士?になってる。。法医学だの脳科学だの司法だのメディア学だの、何がどうなってこんなスーパー人間になったのかあまり記憶がない。。
 
えーと今回は御手洗さんがウプサラ大学の教授たちに話した、過去のすごい事件。
スコットランドネス湖畔にあるティモシー村で暮らす、不穏な噂の絶えない少年ロドニー。大人になりコックとして社会復帰したロドニーは村の光景を写真のように記憶し描くことができ、画家として有名になった。しかしその絵には首だけの女性や謎の巨人が…。そんなロドニーと御手洗さんが出会ったのがロンドン。ロドニーはその絵が未来の自分が起こす殺人だと告白するが…。というお話。
 
旧約聖書のお話なども挿入され、ロドニーの手記なども挟まれて、現実に恐ろしいバラバラ殺人が次々と発生するという。。なかなかに壮大というか大風呂敷というか。首と犬の体が縫い合わされていたり、精肉工場やセスナの座席に遺体の一部が置かれていたり。しまいには御手洗さんの泊まるホテルのベランダにも遺体が出現。もうなんだかんだなんのこっちゃ、ってほどなのだが、これを見事に解決する御手洗さん。ラストのサプライズが明かされると、ああ、なるほど、なあんだ、という感じなのだが…。もう発想の段階ですごいので、ある程度は許せてしまう。動機がいまいちパっとしないので、ドラマ的な衝撃はないかも。だけどトリックがもうファンタジーで拍手もん。
 
ただ、やっぱ今の御手洗さんには初期にあった親近感がない。石岡君も出ないしなあ。その分マイナスかな。楽しませるミステリーとしてはさすがだと思う。