すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

たけまる文庫 謎の巻  (ねこ3.8匹)

f:id:yukiaya1031jp:20190822223303j:plain

我孫子武丸著。集英社文庫

業界初(のはず)の話題(のはず)の個人文庫、第二回配本分にして堂々の完結巻はミステリ短編を集めた「謎の巻」です。ファンおなじみの速水三兄妹のあいかわらずの推理が冴える「裏庭の死体」。2017年の東京湾を舞台に、ある有名な刑事の決死の活躍を描く「バベルの塔の犯罪」。自分自身の行動調査を探偵に依頼する不思議な中年男「青い鳥を探せ」など傑作八編。(裏表紙引用)
 
先日読んだ「怪の巻」と対になっている本。あれだね、「怪」はその名の通りホラー短編集って感じだったけど、こっちはミステリーメイン。だって一篇目があの速水三兄妹ものだったんだから。いちおとかめっちゃ懐かしい…。自宅の庭に埋められて毒殺されていた男の、妻の鉄壁のアリバイを崩すお話で、ちゃんとミステリしてる。ちょっとバカミス入ってるが…。
 
次の「バベルの塔の犯罪」はSFチックでちょっとよくわからなかったけど、続く「花嫁は涙を流さない」「EVERYBODY KILLS SOMEBODY」「夜のヒッチハイカー」「青い鳥を探せ」「小さな悪魔」はホラーテイストを交えつつ意外な結末を楽しめる作品で、割と好きなタイプのジャンルだった。「怪×謎」と言ってもいいんじゃないかな。ラスト「車中の出来事」は騙し合いに次ぐ騙し合いで、頭がこんがらがったが…。
 
というわけで(どう)、なかなかレベルの高い作品集だったかな。「怪」よりこっちが断然オススメ。