すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

中野のお父さん  (ねこ3.8匹)

f:id:yukiaya1031jp:20190820132356j:plain

北村薫著。文春文庫。

若き体育会系文芸編集者の美希。ある日、新人賞の候補者に電話をかけたが、その人は応募していないという。何が起きたか見当もつかない美希が、高校教師の父親にこの謎を話すと…(「夢の風車」)。仕事に燃える娘と、抜群の知的推理力を誇る父が、出版界で起きる「日常の謎」に挑む新感覚名探偵シリーズ。(裏表紙引用)
 
べるさんオススメの、北村さんの新(?)シリーズ。8編収録の連作短編集になっていて、もちろん日常の謎系。最初、「お父さん」て誰なんだろう~?と思っていたら普通に主人公・美希の父親だった。出版社で編集者としてバリバリ働く美希が、仕事などでぶつかった謎を実家の父親のところへ持ち込むという展開。このお父さん、高校教師で読書家、かなりの博識。それでいて性格は穏やか、娘大好き(笑)。
 
新人賞を受賞した男性に受賞を知らせると、その作品は一昨年応募したものだと言われたり、作家の手紙特集では大御所先生に宛てた熱い女性作家の恋文が話題になったり、新発見資料特集では作家の未発表の画帳に隠された秘密が明らかになったり。特に本の汚れを異常に気にする愛書家の話が印象に残った。出版社さんも大変だ^^;
 
とにかく、どれもほのぼのしていて知的で、とても北村さんらしい作品集だった。このお父さん、どうしても北村さんを投影してしまうなあ。続編がすごく楽しみ。
 
北村さんの文庫(小説)読破したどー。