すべてが猫になる

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八月の六日間  (ねこ3.6匹)

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北村薫著。角川文庫。 

雑誌の副編集長をしている「わたし」。柄に合わない上司と部下の調整役、パートナーや友人との別れ…日々の出来事に心を擦り減らしていた時、山の魅力に出会った。四季折々の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会。一人で黙々と足を動かす時間。山登りは、わたしの心を開いてくれる。そんなある日、わたしは思いがけない知らせを耳にして…。日常の困難と向き合う勇気をくれる、山と「わたし」の特別な数日間。(裏表紙引用)
 
北村さんの山登り小説。
 
女性編集者ヒロインが続く。お仕事小説の部分は鳴りを潜めていて、本作はほぼ山登りがメイン。自分自身が全く山登りに興味を持てないためか、(登りきった感動とかよりそれまでの苦労のほうが上回るのが目に見える。。)内容が完全に山登りに徹していたためか、北村作品にしては珍しく入り込みにくかった。荷物がめっちゃ多くて読んでるだけでしんどくなる(荷物の詳細を羅列するくだりが毎回あるので)。でも心の清涼剤として必ず本を数冊入れるところは共感したなー。
 
ただ、年齢が自分と近かったためか、長年の友人との死別や長く付き合った恋人との別れ、仕事関係での憂さなどはリンクするものがあったように思う。激情的ではないし内面を深く掘り下げるわけではないので「なんとなく」感じるだけだったけども。ストーリーが明確になかったのも一因かも。大人の小説って感じだったね。