すべてが猫になる

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飲めば都  (ねこ3.8匹)

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北村薫著。新潮文庫

人生の大切なことは、本とお酒に教わった―日々読み、日々飲み、本創りのために、好奇心を力に突き進む女性文芸編集者・小酒井都。新入社員時代の仕事の失敗、先輩編集者たちとの微妙なおつきあい、小説と作家への深い愛情…。本を創って酒を飲む、タガを外して人と会う、そんな都の恋の行く先は?本好き、酒好き女子必読、酔っぱらい体験もリアルな、ワーキングガール小説。(裏表紙引用)
 
北村さんのお仕事&お酒小説。連作短編12編の構成になっていて、ほぼ全てヒロイン小酒井都の編集者というお仕事&お酒にまつわるお話。
 
 
本来自分は大酒飲みで酔って正体を失うような人は好きではないのだが、この都に対しては全く嫌悪感がなかった。それは北村さん独特の繊細で上品な描写によるものが大きいのだろうが、都を取り巻く女性先輩方のキャラクターの魅力も決して無関係ではなさそう。早苗の火鍋事件とか凄かったなー。「私がこの中で1番幸せ」とか長年の友人に言われたらそりゃキレるわ。結婚相手に1番びっくりしたけど。やられた!って感じ。
 
都が彼氏に「他の女と結婚する」と言われた日、泥酔し頭を打ち病院に担ぎ込まれた日、好意を持つ版画家の小此木を家に連れ込み記憶をなくし勝負下着を持って帰られたと勘違いした日…。やってること凄いけど、仕事めちゃくちゃ頑張ってる!って感じの性格ではなく、都があるがままの自分を受け入れているところが読んでいてしんどくないんだろうな。
 
細かい薀蓄が入っても「うんちく!」って感じにならないところもいいな。色々あったけど、終わりよければすべてよしということで。都ちゃんおめでとう。